食養生

『不妊と食生活について②』

2021年6月20日 日曜日

若返る食事の法則

 

2.主食はなるべく未精白玄米に

 

パンダが笹の葉や竹を食べるのみでそれ以外のものを食べなくても元気であるように、動物にはそれぞれ食すべき適応食があります。

 

 

人間も動物ですから本来食べて元気になる適応食があり、古来からそれが玄米であることを古人は教えてくれています。ですから食事の60%は少なくとも穀物、できれば陰陽のバランスがとれた玄米にすると良いでしょう。

 

 

しかし、よく「30品目以上の食品を摂りなさい」といわれますが、果たしてそれは正しいことなのでしょうか?それは以下の点であまり良くないと思われます。

 

 

まず第一にそれだけの食材を購入する費用がかかり不経済です。

 

 

第二に購入された食品には添加物が多く含まれ、日持ちを良くするために加熱調理(滅菌処理)され、時間がたっているものが多く、栄養価は損なわれているものまで摂ることになる。

 

 

第三に何を食べようかと悩んでストレスを感じてしまいます。第四に自然界では同じものが入ってくるので胃腸は楽ですが、30品目以上を摂るということは胃腸を酷使する事になり、胃腸が疲弊します。

 

 

それよりは完全栄養に近い玄米を食べれば簡単に事足ります。でも精米した白米は「粕(カス)」と言う字になるように、殿粉の固まりで、白砂糖をとっているのと同じです。うどんやパンなどの白い食べ物もデンプンの固まりで砂糖と同じばかりでなく、粉にしていますから、空気中の酸素により酸化されており、白米以下の食べ物です。

 

 

 

ところで殿粉は分解されてブドウ糖となり、細胞内に取り込まれ、ミトコンドリアでATPの原料として使用されます。

 

 

このときにビタミンB1,B2,B6,B12やミネラルなどを消費してしまうことが分かっており、特にビタミンB1不足は顕著です。

 

 

B1不足は、仕事や勉強に集中できない、昼間に居眠りをする、イライラする、疲れやすい、肩がこる、口内炎ができやすいなどの日常よくある症状を引き起こしますので「えっ」と驚かれるかもしれません。

 

 

ですから、白米やうどんや白いパンは栄養素を奪う「マイナスの食べ物」なのです。

 

 

有名な話しとしては、ビタミンB1を米糠から抽出した鈴木梅太郎が、「ニワトリとハトを白米で飼育すると脚気様の症状がでて死ぬこと、糠と麦と玄米には脚気を予防して快復させる成分があること、白米はいろいろな成分が欠乏している」ことを報告しています。

 

 

現代の皆さんが白い殿粉の固まりや白い砂糖のお菓子を沢山食べて健康でいられる方が如何に少ないか、「未病」の方が如何に多いかと言う根本原因が上記にあります。

 

 

また精米した白米は黴びやすく、表面の酸化された糠油を落とさなければならないため、多量の水で「研ぎ」、下水を汚し、カロリーはあるが人を養う栄養が大変少ないものです。

 

話しが逸れてしまいましたが、結論として玄米には体の中で利用できるように必要なビタミンB類やミネラル・補酵素類がバランスよくほとんど全て入っていますので、玄米食をなるべく食べるようにしましょう。

 

 

玄米食がなかなか食べられない人は、雑穀を混ぜたり、麦飯を食べたりして工夫しましょう。

 

 

健康の「康」に「米」を足すと「糠(ヌカ)」となるように、糠には健康の元があります。

 

 

 

この糠を沢山使って麹菌で醗酵させた「玄米発酵食品」は非常に優れた食品ですので、外食で玄米を摂れないときなどに服用して玄米の栄養をスマートに摂取できますから、毎日利用するようにしましょう。

『不妊と食生活について①』

2021年6月7日 月曜日

細胞代謝が活性化するには、代謝に必要な全ての栄養素をバランス良くとらなければなりません。私達の周りには、加工度が高く添加物が多く含まれる食品が沢山出回っています。

それらの食品を何十品目も摂取したとしても「バランスのとれた食生活」とは言えません。

 

食品に対する正しい知識を得ることによって、食べ物の大切さを実感すると共に日々の食生活が充実すると思います。

 

今回から「若返る食事の法則1~10」と題して食生活を改善して細胞を若返らせる内容のメールをシリーズでお送り致します。

 

 

若返る食事の法則

 

1.タンパク質を多く摂りましょう

 

欧米人に比べてアジア人は以前から統計的に妊孕性が劣っています。これは主にタンパク質を多く摂っている事に起因します。

なぜかと言いますと、生命の代謝は一つの細胞辺り約12000種類の酵素によってとり行われていますが、この酵素の原料がタンパク質であるため、十分な原料のタンパク質が無いと十分な酵素が作れません。

 

このような時は、必要なものを作って利用し終わったら分解してアミノ酸に戻し、このアミノ酸から再度必要な酵素を作成するという「自転車操業」を細胞の中でしています。

 

ですからどうしてもタンパク質が不足しがちなアジア人は細胞増殖などの代謝が悪くなり、妊孕性が落ちてしまいます。

 

不妊患者の多くは35歳以上の代謝が生理的に低下している方が多く、特に体外受精などで良い卵が採れない方には、この傾向が強い事が分かっています。

 

ですから不妊患者の卵の質を良くする最も大切な点は、良質な蛋白を十分摂取する事です。具体的には卵や青魚、お肉、大豆製品をおおく摂る事が必要です。

 

一つ注意してほしい事は、植物性蛋白にはアミノ酸からタンパク質を合成を開始するときに必要なメチオニンというアミノ酸が少ないため、メチオニンを多く含む動物性パンパク質を一緒に摂るように心がけてください。

 

毎日私たちの体は赤血球が120日、皮膚が30日、胃や腸などの粘膜が2~3日で入れ替わっており、平均して100~200億の細胞が入れ替わっていると言われています。

 

不妊治療で大事な、卵細胞や精子細胞は75日ほどで成長すると言われています。

 

これらの細胞の入れ替えを支えるためには十分な量の蛋白の補充が必要になります。

 

また細胞膜を構成するものとして油類は重要です。

 

理想的にはオメガ3とオメガ6系の油が1対3の割合がもっとも理想的とされていますが、オメガ6系の油(天ぷら油、ごま油)を我々は非常に多く摂り過ぎる傾向があります。

 

できれば血液をサラサラにしてコレステロールを下げてくれる様やEPAやDHAが含まれた青魚や昆布・わかめ等を摂るようにしたり、亜麻の実(ゴマのようなもの)を積極的に摂り、オメガ3系の油を増やすようにしてください。

『不妊の原因・細胞を老化させるもの』

2021年6月2日 水曜日

 

『活性酸素:体をサビさせてしまう酸素』

 

 

私達が掛かる病気の90%近くが「活性酸素」に起因していると言われています。

 

また信じがたいことですが、マイロン・ポリコーブ(カリフォルニア大学名誉教授)とルードビィヒ・ファイネンデーゲン博士(米国エネルギー省医学顧問)の重要な論文によると以下のことが発表されています。

 

『毎日我々の体細胞中のDNAは活性酸素によって100万箇所で傷付いているが、様々な修復酵素でその損傷を殆ど修復しており、どうしても修復しきれなかった細胞はアポトーシスなどを起こして破壊除去されると言うことがわかった。』

 

これが体細胞60兆個に起こっているのですから、私達の体にがん細胞は毎日3千個は出来ていても全く不思議ではありません。それらを毎日免疫細胞が破壊してくれていますので、活性酸素を増やすことや免疫細胞の機能を落とす生活をしてはいけないことがおわかりになると思います。

 

 

不妊治療も加齢に伴う流産率の増加は、抗酸化力の低下と関係していることが多くの論文で示唆されています。

 

また精液所見の不良な方の抗酸化能が低下していることも多数見られるようになりました。是非これからは「不妊」と「抗酸化能」をキーワードに考えて頂ければと思っております。

 

 

松康泉

 

兵庫県神戸市 英メンズクリニックで臨床データを取っている松康泉は精子の酸化ストレスを軽減する為に患者様に服用して頂き良い結果が出ておりますので安心して勧めて頂けます。
(*臨床データの無い抗酸化サプリメントは悪影響を及ぼす可能性がありますので抗酸化サプリメントを選ぶ際は気を付けて下さい。)

 

 

 

 

私は、カウンセリングで精子の運動率、精子量、精子濃度についてはショウキT-1をおススメし、精子の奇形率、精子のDNAの損傷については、松康泉をおススメしています。

卵子の中にある女性の染色体の数のお話 その2

2021年5月30日 日曜日

 

 

 

下の図は卵子の成熟過程を示したものです。左からGV→MI→MIIの順で成熟してゆき、精子が侵入します。人間に例えると小学生→中学/高校生→大人の順に成人し、結婚となります。

 

卵子の写真の見た目の変化を見ていくと、GVでは卵子の中に袋が一つ、MIでは卵子の中の袋が消え、MIIでは卵子の外に小さなボールが出現しています(左から3番目の写真の白い矢印)。

 

この見た目の変化が、卵子中の染色体の数を減らしていく過程に密接に関係しています。次に、見た目には表れない卵子内部の染色体の動きをイラストで示します。

 

 

 

 

 

 

GVでは卵子の中に女性の染色体が4つあります(一番左)。MIでは4個の染色体が2個-2個に数を減らして2つに分かれます(左から二番目)。

 

これは減数分裂と呼ばれています。MIIでは、この2個-2個に分かれた染色体のうち、半分の2個は卵子本体の外側に放出、もう半分の2個は卵子本体の内側に残った状態となります(左から三番目)。

 

したがって、MIIと呼ばれる時期に卵子の外に見える小さなボールの中には女性の染色体が2個入っていることがお分かり頂けると思います。卵子は、この状態で暫く成長・成熟の動きを一時停止して、精子の侵入を待ちます。

 

この精子を待っている状態では、卵子の中の染色体の数は2個なので、ここから更に1個減らしてゆきます。

 

次に、精子が侵入してから卵子本体の中にある2個の染色体が最終的に1個に減る過程を説明します。

 

 

 

 

 

 

精子が侵入した後の外観の変化を見てみると(上段の卵子の実際の写真)、左から精子侵入→減数分裂では外観に大きな変化は見られません。次に見られる変化は、左から3番目の写真に見られるように、二番目(二個目)の小さなボールが卵子の外に出現します(白い矢印)。

 

次いで、一番右側の写真が示すように卵子本体の中に袋が2つ見える状態となります。この状態が受精と呼ばれる時期となります。

 

下段に示した、見た目には表れない卵子内部の染色体の動きを示したイラストを見てみましょう。精子侵入を察知すると卵子は、卵子本体の中にある2個の染色体を、今度は1個-1個に数を減らして2つに分かれます(左から2列目)。

 

卵子の中で起こる2度目の減数分裂になります。減数分裂の次は、この1個-1個に分かれた染色体のうち、半分の1個は卵子本体の外側に放出、もう半分の1個は卵子本体の内側に残った状態となります。

 

侵入した精子の頭の中には男性の染色体が1個入っていますので、この時点で初めて男性と女性の染色体が1:1の状態で出会う準備が整います。したがって、この時に卵子の外に見える大き目のボールの中には女性の染色体が2個、小さ目のボールに入っている女性の染色体が1個入っていることがお分かり頂けると思います(左から3、4列目)。

 

そして、卵子の中に残った女性の染色体1個から母親の遺伝情報が入った袋が一つ(左から4列目の写真、黄色い矢印)、精子の頭から父親の遺伝情報が入った袋が一つ(左から4列目の写真、白い矢印)、合計二つの袋が見える状態“受精”となります(左から4列目)。

 

 

 

 

 

 

一番始めに卵子の中の染色体数は「四つから一つ」に減ると申し上げましたが、厳密に言うと、最初に卵子の中にある「4個」の染色体は始めに卵子の外に「2個」、次いで「1個」、合計「3個」放出されることで卵子の中に「1個」だけ残った状態となります。

 

なので卵子を覆っている卵子内部の女性の染色体の数の合計は常に「4個」です。あくまでも卵子本体の中に残っているのが「1個」になっている状態となります。

 

卵子本体の外に放出されてしまった合計「3個」の余りの女性染色体ですが、決してダメな染色体という訳ではなさそうです。

マウスでの検証によれば、この卵子の外に放り出された3個の女性染色体を取り出して、これらを利用して3匹のマウスの赤ちゃんを誕生させることに成功しているそうです。

 

この実験結果から、卵子の外に放り出された女性染色体はちゃんと機能していることが分かります。

 

4個の染色体のうち、最後に卵子の中に残る染色体はどうやって決まるのか?卵子本体の外に放り出された「余り」の染色体達は受精後に何らかの役割があるのか?等疑問に思うことは多々ありますが分かっておりません。

 

 

 

 

 

以上、卵子中の女性の染色体の数にまつわるお話を2回に分けてお話しました。卵子の神秘的な一面を知って頂けますと嬉しいです。