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デスクワークが精子DNA断片化率に及ぼす影響

2019年8月6日 火曜日

近年、 男性の精子のDNAの損傷がよく話題になります。
 

今日は『デスクワークが精子DNA断片化率に及ぼす影響』という論文が出ましたで和訳して書きます。

 

『デスクワークが精子DNA断片化率に及ぼす影響』

 
Folia Histochemica et Cytobiologica 
 
 
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男性のデスクワークは精子DNA断片化率の上昇を招く可能性のあることがポーランドで実施された研究で明らかになりました。

 

ポメラニアン医科大学の研究チームは男性のデスクワークの精子の質への影響を調査するべく、大学病院に通院中の男性254名を対象に研究を実施しました。

 

 
 
週に35時間以上働く男性に週当たりのデスクワークの時間を質問票で回答してもらい、デスクワークに従事する時間が勤務時間の半分以上(17.5時間以上)の男性(152名)半分未満の男性(102名)にわけ、精液検査や精子DNA断片化率件検査の結果との関係を解析しました。

 

 
 
その結果、デスクワークの時間と精液検査結果は関連しませんでしたが、精子DNA断片化率と有意な関連が見られました。

 

 
 
 
勤務時間の半分以上をデスクワークに従事する男性は半分未満の男性に比べて精子DNA断片化率が有意に高い(中央値 21.00% 対 16.50%)ことがわかりました。
 
 
 
 
また、精子DNA断片化率が低い(15%未満)割合が有意に低く
(27.63% 対 45.10%)
 
 
 
不良とされる(30%以上)割合は有意に高い
(30.92% 対 16.67%)
ことがわかりました。

 

 
 
さらに、勤務時間の半分以上がデスクワークである男性はそうでない男性に比べて、
精子DNA断片化率が正常(低い)割合は約半分(OR:0.4648)で、不良の割合は2倍以上(OR:2.2381)であることもわかりました。

 

 
このことから男性の長時間のデスクワークは精液所見には影響しないものの、精子DNA断片化率上昇のリスク要因になる可能性があることがわかりました。

 

 
また、それは精巣の温度上昇や精巣温度上昇を介した酸化ストレスの上昇のためではないかとしています。

 

 
 
 
注釈

男性の精巣の温度は体温に比べて、1-2℃低い、32から35℃の間が適しているとされています。なぜなら、高温下で精子形成に関与する遺伝子発現レベルが落ち、精子をつくるのに障害が起こってしまうからです。

 
 
そのため、サウナや長風呂、身体にフィットする下着、膝上でPCを操作することは精子の質の低下を招くおそれがあることが、これまでの研究で明らかにされています。

 

 
今回の研究は長時間同じ姿勢でいるデスクワークも股間に熱がこもり、精巣の温度が上昇し、精子の質の低下を招くリスクファクターになるのではないかと考え、実施されました。

 

 
 
結果は精液所見は変わらなかったものの精子の断片化率を悪化させました。

 

 
これは精巣の温度が上昇したことと、それによる酸化ストレスの上昇によるものではないかとしています。

 

長時間デスクワークに従事する男性は、定期的な休息とゆったりした下着などで通気性をよくすることを心がけることが大切かもしれません。

また、妊活男性にとって、精液検査が正常であっても精子DNAの断片化率も上昇にも目を向ける必要がありそうです。

 
 
 
 
松康泉
 
英メンズクリニックでも松康泉は精子の酸化ストレスを軽減する為に患者様に服用して頂き良い結果が出ております。
 
 
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砂糖入り清涼飲料水の摂取量と自然妊娠確率

2019年8月3日 土曜日

今回は『砂糖入り清涼飲料水の摂取量と自然妊娠確率との関係』
と言う面白い論文が出ましたので和訳し添付致します。  
 
 
 
『砂糖入り清涼飲料水の摂取量と自然妊娠確率との関係』
 
 
 
 
カップルのいずれかが1日に1本以上の砂糖入り清涼飲料水を飲むことは自然妊娠率の低下に関連することがアメリカで実施された研究で明らかになりました。
 

ボストン大学公衆衛生大学院の研究チームは、妊娠を希望するカップルの砂糖入り清涼飲料水の摂取量と妊娠しやすさの関係を調べるために、アメリカ合衆国とカナダ在住の3,828名の女性とその男性パートナー1,045名を対象に前向き研究を行いました。

 

 
 
被験者は、女性の年齢が21-45歳で妊娠を希望してから最長6周期を経過し、不妊治療を受けていないカップルで、最初に、直近1ヶ月間の飲料(砂糖入り清涼飲料水、ダイエット飲料、果物ジュース、栄養ドリンク、スポーツ飲料)の摂取量を含む質問票に回答してもらい、妊娠の成立、もしくは、最長で12回の月経周期迄、妊娠の有無について追跡調査し、カップルの清涼飲料水の摂取量と妊娠までに要した期間から算出した妊娠率との関係を統計解析しました。

 

 
 
年齢や生活習慣などの要因も影響を排除するように調整した後、
 
週に7本以上の砂糖入り飲料を飲む女性は飲まない女性に比べて周期あたりの妊娠率は19%低下(FR=0.81; 95%CI: 0.70,0.94)し、
 
同様に週に7本以上砂糖入り飲料を飲む男性は飲まない男性に比べてパートナーの女性の妊娠率は22%低下(FR=0.78; 95%CI: 0.63,0.95)しました。

 

 
 
砂糖入りソーダの摂取量はさらなる妊娠率の低下に関連し、1日に1本以上砂糖入り炭酸飲料を飲む女性は飲まない女性に比べて妊娠率は25%低下(FR=0.75; 95%CI: 0.59,0.95)し、
 
同様に1日に1本以上砂糖入り炭酸飲料を飲む男性は飲まない男性に比べてパートナーの女性の妊娠率は33%低下(FR=0.67; 95%CI: 0.51,0.89)しました。

このことから週に7本以上の砂糖入り清涼飲料水を摂取することで自然妊娠の確率が低下することが示唆されました。

 
 
 
 
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注釈

これまで砂糖入り清涼飲料水の摂取量と体外受精の治療成績との関連については、いくつかの研究報告がなされていますが、自然妊娠するまでに要する期間との関係を調査した研究がはじめてだったようです。

 
結果は、カップルの女性、男性のいずれかにおいても、1日に1本以上の砂糖入り清涼飲料水を飲むことは、自然妊娠に至るまでより長い期間かかるというものでした。

 

 
 
妊娠希望のカップルにとって、飲み物はミネラルウォーターやお茶などにしておくのが無難なようです。
 
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2019年 妊活応援セミナー開催のお知らせ

2019年8月1日 木曜日

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神戸 英(はなぶさ)ウィメンズクリニック サプリメントサポートセンター長

 

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・一般社団法人「統合医療生殖学会」

認定子宝カウンセラー指導士

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神戸三宮 英ウィメンズクリニックにて年間1000人以上のカウンセリングをし、

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(一般社団法人「統合医療生殖学会」会員店)

場所:ドラッグもりぎん店内セミナールーム

 

<参加費無料>

 

御参加、ご希望の方は、お電話にてご予約をお待ちしております。

 

電話 (0587)-32-5414 もりぎんまで

 

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女性の1日あたりコーヒー杯数の不妊治への影響

2019年7月29日 月曜日

不妊治療をするなかでコーヒー(カフェインの摂取)については度々、ご質問を頂きます。
 
 
カフェインに関して不妊治療の分野ではどちらかというと後ろ向きな意見が多い気がしていましたがこの『不妊治療にカフェインは良い?悪い?論争」に対して精度の高いビックデータの論文が今年2019年に発表され一つの終止符が打たれました。
 
 
 
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今回は『女性の1日あたりのコーヒー杯数の不妊治療成績への影響』と言う面白い論文が出ましたので和訳し添付致します。
 

 

 

『女性の1日あたりのコーヒー杯数の不妊治療成績への影響』

 

 

人工授精を受けている女性で、1日に1〜5杯のコーヒーを飲む女性は飲まない女性に比べて妊娠、出産に至る確率が1.5倍高い一方で、体外受精や顕微授精を受けている女性ではコーヒーの摂取量と治療成績に関連が見られないことがデンマークで実施された研究で明らかになりました。


オーフス大学の研究チームは、オーフス大学で不妊治療を受けている女性を対象に1日のコーヒー摂取量と治療法別治療成績との関連を前向きに調査しました。

 

1708名の女性を対象に、治療開始ごとに1日のコーヒー摂取量を「飲まない」、「1-5杯」、「6-10杯」、「10杯以上」から選択してもらい、人工授精1511周期、体外受精/顕微授精2,870周期、凍結融解胚移植1355周期の治療成績を対象としました。

 
その結果、体外受精や顕微授精では女性の1日のコーヒー摂取量は治療成績への影響はみられませんでした。
 
 
一方、人工授精では1日にコーヒーを1〜5杯飲む女性は飲まない女性に比べて、妊娠率(adjusted relative risk 1.49; 95% confidence interval, 1.05-2.11) 、出産率 (adjusted relative risk 1.53; 95% confidence interval, 1.06-2.21) ともに有意に高いことがわかりました。
 
 
このことから人工授精ではコーヒーの摂取が治療成績によい影響を及ぼす可能性があることが示唆されました。

 
 
 
注釈

全日本コーヒー協会の調査では日本のコーヒー消費量は、年々、拡大傾向にあることがわかります。実際にカフェが増えたり、コンビニでコーヒーが買えるようになったりと、そのことが実感できます。

 
そんなポピュラーな嗜好品であるコーヒーが妊娠にどのような影響を及ぼすのかについて、これまで多くの研究報告がなされています。

 

 
ハーバード大学のEARTH Studyでは、治療前の1年間のカフェイン摂取量はART治療成績(子宮内膜厚、獲得成熟卵数、着床率、妊娠率、出産率)にマイナスの影響を及ぼさないとの報告がなされています。
 
 

ART治療成績とは関連しないというのは今回の研究結果と一致していますが、コーヒー摂取の人工授精の治療成績への影響を調べたのは、今回の研究がはじめてで、それもよい影響を及ぼす可能性があるというものでした。

 
私が推測するに
カフェイン摂取がなぜ人工授精の治療成績へよい影響を及ぼすか、それはカフェインが卵管の繊毛の働きを刺激し、卵子のピックアップ(排卵後の卵子の卵管への取り込み)や輸送の機能によい影響を及ぼすのではないかと推測しています。

 

 
 
また、カフェイン摂取は黄体期のプロゲステロンレベル上昇、無排卵リスクの低下と関連するという報告もあり、さらには、カフェイン摂取はインスリンの感度を高めるとの報告もなされており、これらがコーヒー摂取が人工授精の成績によい影響を及ぼすメカニズムかもしれないとの見解を示しています。

 

 
このように適量であればコーヒーの不妊治療成績への影響はそれほどの心配はないようです。

 

 
ただし、妊娠後のカフェイン摂取は流産リスクを上昇させるという研究報告がありますので、妊娠後は控えるのが無難なようです。
 
 
 
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