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男性の喫煙。加熱式の電子タバコなら妊活に影響はないのか?

2019年1月15日 火曜日

男性の喫煙で加熱式の電子タバコと火をつける紙巻きタバコでは、

妊活での影響に差があるのか!?

 

『電子タバコなら妊活中も吸ってもいいですか?』 

 

といった質問が多いので今回のテーマといたします。

 

★「iQOS」で実験  
 
『加熱式たばこも血管には有害 血管内皮機能が低下』
 
IQOS
 
 
 
加熱式たばこ製品の「iQOS」(アイコス)は血管に悪影響を与えるという調査結果
 
を、米国のカリフォルニア大学が発表した。iQOSの蒸気に曝露したラットの血管
 
内皮機能は、一般的な紙巻きたばこの煙に曝露したラットと同程度に低下したと
 
いう。この研究結果は米国心臓学会(AHA)のサイエンスセッションで発表。
 
 
 
 
 
加熱式たばこでも血管内皮機能が低下
 
 
加熱式たばこは、たばこの葉を燃やさず加熱して生じた蒸気を吸って楽しむ製
 
品。このうち大手たばこ企業のフィリップモリス社が製造する「iQOS」は、
 
日本、カナダ、ロシアなどで販売されており、米国でも米食品医薬品局(FDA)に
 
対し承認が申請されている。通常の紙巻きたばこは、たばこ葉を600度で燃やす
 
が、iQOSでは350度で加熱するため、ニコチンが含まれた蒸気は生じるが煙は
 
ない。同社は「通常の紙巻きたばこの煙に比べ、iQOSが出す蒸気は、9種類
 
の有害成分の量を約90%カットしている」と主張している。
 
 
これに対し、カリフォルニア大学のマシュー スプリンガー教授(循環器内科学)
 
は、「たばこ企業では、加熱式たばこ製品が通常の紙巻きよりも健康への害が
 
少ないと主張していますが、こうしたデバイスの健康への影響は十分に検証さ
 
れていません」と言う。
 
 
 
スプリンガー教授らは実験ラットに
 
 
(1)iQOSを加熱した蒸気
 
 
(2)紙巻きたばこの煙
 
 
(3)清浄な空気
 
 
のいずれかを曝露させた上で、血流依存性血管拡張反応(FMD)測定により評価した。
 
FMD測定は、非侵襲的に「血管内皮機能」を測定する方法。血管の柔らかさを数値化することで、
 
早い段階で動脈硬化の傾向が分かる。
 
その結果、曝露は1回15秒間として5分間に5回行った場合、
 
血管内皮機能はiQOS群で58%紙巻きたばこ群では57%低下した。
 
 
曝露を1回5秒間として5分間に10回行った場合、
 
血管内皮機能はiQOS群で60%紙巻きたばこ群では62%低下した。
 
 
 
iQOSの蒸気への曝露は、紙巻きたばこに曝露した場合と同程度の、
 
 
血管内皮機能の低下をもたらすことが示された。
 
「新型たばこ」に対し呼吸器学会が見解 「健康に悪影響が出る可能性」
 
 
 
 
吸い続ければ健康に悪影響をもたらす可能性
 
「たばこの葉の燃焼が起きていない場合でも、血管内皮機能の低下の原因となる
 
化学物質がiQOSから放出されている可能性があります。
 
血管の機能が低下すると、心臓や他の臓器に、必要な血液が十分に行き届かくなり、
 
アテローム性動脈硬化症、心筋梗塞、脳卒中などの危険性を高めます」と、スプリンガー教授は言う。
 
 
循環器系におけるたばこの煙への反応の仕方はヒトとラットでよく似ているため、
 
この研究結果はヒトにも当てはまる可能性があるという。
 
 
血管の状態を悪化させる物質の特定はされていないが、
 
最大の問題はニコチンではないかと推定している。
 
 
 
「たばこの害に関する研究は、経済的な利害関係から独立し適切に行われるべきで、
 
科学的な事実による裏付けが必要です。
 
たとえiQOSが普通の紙巻きたばこに比べ害が少ないとしても、吸い続ければ健康に
 
悪影響をもたらす可能性があることに注意を向けるべきです」と、スプリンガー教授は述べている。
 
この研究は米国立衛生研究所(NIH)とFDAによる資金提供を受けて実施された。
 
学会発表された研究は通常、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは予備的なものとみなされる。
 
 
米国心臓学会
カリフォルニア大学たばこコントロールセンター
 
 
 
 
加熱式タバコも紙巻きたばこもニコチンの量はそれ程変わらないという事をお伝えしましたが、
 
ニコチンそのものの妊活に対する害はどうなのでしょうか?  
 
 
 
『ニコチンが精子に与える影響について』

タバコが精子に悪影響を与える事については良く知られていますが、
 
実際にどの物質が悪いのでしょうか?

ニコチンよりタールが悪い、もしくは一酸化炭素が悪いなど色々言われていますが、

 
タールとはタバコの燃焼によって生じる物質の総称ですから色々な物質が含まれています。
 
 
 

ニコチンと精子の関係について調べた研究をご紹介したいと思います。
 
In vitro effects of nicotine on human spermatozoa

(実験環境においてニコチンがヒト精子に与える影響)

 
この論文は南アフリカのOyeyipo氏らが2013年のAndrologiaに発表した研究です。

この研究では19歳から26歳の12人の被験者から得られた精子に液体に溶かしたニコチンを加えて、

 
いくつかの濃度で精子の動きに与える影響を調べたものです。
 
 

評価項目としては、精子運動自動解析装置を用いた精子の運動の質と、
 
蛍光顕微鏡を用いた先体反応を見ています。
 
 
 
先体反応前と後の精子の状態
 
 
先体反応前と後の精子の状態
 
 
先体反応とは精子が卵子の表面に接近した時に起こる反応で、受精に欠かせない
 
ものですが、卵子に接近していないのに先体反応が起きてしまうとその後の受精
 
力が失われてしまいます。このような不必要な先体反応は化学物質や放射線
 
などによって引き起こされるとされており、妊娠力の低下を招くと考えられてい
 
す。この研究では19歳から26歳の12人の被験者から得られた精子に液体
 
に溶かしたニンを加えていくつかの濃度で精子の動きに与える影響を
 
調べています。
 
 
評価項目は、精子運動自動解析装置を用いた精子の運動の質と、蛍光顕
 
微鏡をた、先体反応を見ています。
 
 
 
ニコチン濃度別精子
 
 
上の棒グラフは精液にニコチンを加えて30分後、60分後、120分後、180分後の
 
精子の運動と先体反応を調べたものです。
 
 
 
これを見ると、ニコチン濃度が増える程、精子の運動の質は低下している事が
 
分かります。一方、先体反応についてはニコチン濃度が上昇するほどに反応
 
早まることが確認されています。
 
 
 
この研究ではさらに特殊な染色方法を用いて、精子の生存率を測定しています
 
ニコチン精子生存率
 
 
 
 
上の表を見ると、ニコチン濃度が高い程精子の生存率が低下していることが分か
 
ります。ということで結論としては、
 
 
 
・ニコチン自体が精子の状態を悪化させる。
 
 
・ニコチン濃度が高いほどより悪影響は強い。
 
 
でした。
 
 
この実験は精子に直接ニコチンを添加しており、実際の喫煙の状況とは異なりま
 
すが、ニコチンそのものが精子に影響を与えるという意味で重要な報告かと思い
 
ます。
 
 
 
結論として・・・
 
加熱式タバコも紙巻きたばこもニコチンの量はそれ程変わらないので、
 
男性の喫煙での精子への影響は加熱式タバコも紙巻きタバコもどちらも同じ。
 
 
妊活中の男性は禁煙するべきです。

夫婦喧嘩が炎症を引き起こす可能性がある?

2018年10月10日 水曜日

『夫婦喧嘩が炎症を引き起こす可能性がある』という 論文 が発表されました。

 

 

 

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24~61歳の結婚3年以上の43組の夫婦に意見がわかれやすい話題について
 
20分間話し合ってもらい、その様子を観察しました。
 
 
 
 
話し合いの前後に採血を行い、腸内細菌叢から血中に移行した細菌内毒素の
 
バイオマーカーの変化を比較したところ、相手に対して強い敵意を示した人は
 
敵意が弱い人よりレベルが高くなりました。
 
 
 
 
細菌内毒素のバイオマーカーは炎症マーカーと強い関連があり、
 
パートナーとの関係が悪いと腸内細菌叢から産生された細菌内毒素が血中に
 
流れ出して炎症反応を促進する可能性があります。
 
 
 
 
怒るとおなかや頭が痛くなることは経験的に皆様あると思いますが,
 
その根拠が今回の論文で示されました。
 
 
 
<参照>
■Kiecolt-Glaser JK et.al, Marital distress, depression, and a leaky gut: Translocation of bacterial endotoxin as a pathway to inflammation, Psychoneuroendocrinology. 2018 Aug 4;98:52-60. doi: 10.1016/j.psyneuen.2018.08.007
 
 
 
 
 
心と体は密接に関連しているのだと改めて思います。
 
 
 
 
子宮内膜や卵巣の炎症の治療には,
 
夫婦仲良しと言うのも一つの治療法であると言えます。

精子の異数性検査(SAT)について

2018年9月12日 水曜日

近年、男性由来の不妊が増えています。
 
特に妊娠初期の染色体異常による流産は男性の精子の、
 
染色体に多くの問題があるとわかってきました。
 
 
 
そこで近年は受精卵に対して PGS、NGS(着床前診断検査)を、
 
行うことが増えていますがその前に男性側の精子を詳しく調べる検査
 
  『精子の異数性検査(SAT)』が増えています。
 
 
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『精子の異数性検査(SAT)』
 
 
 
概要
 
 
精子染色体の異常率が高いカップルでは、
 
最大60%が流産へと繋がります。

自然流産との関連が最も高い、13番、18番、21番、
 
XおよびY染色体の異数性について、蛍光in situ
 
ハイブリダイゼーション(FISH法)にて解析します。

精子の染色体から、男性不妊の原因となる遺伝的病因について調べます。
 
 
 
 
 
利点

 

・妊娠率の向上


・流産リスクの低減

・男性側に不妊要因があるかどうか調べることができます。

・不妊症カップルに対し、体外受精を行う前に遺伝カウンセリングを
 
 ご提供することができます。
 
 
 
SATの結果が異常と認められた場合、そのカップルに対して
 
PGS、NGS(着床前診断検査)を行うことをお勧め致します
 
これにより、染色体に異常のない胚を移植し、妊娠率の向上
 
および流産のリスクを低減することが可能になります。 
 
 
 
 
 
検査対象者

 

・男性因子:精子濃度が低い場合、精子の染色体異常発生率が高くなる為


・原因不明の反復流産

・反復着床不全

・前回の妊娠時に、胎児に染色体異常が見つかった方
 
 
 
 
 
結果

 

『精子の異数性検査(SAT)』の判定で精子染色体の異常は

 
3つのステージにおいて影響を及ぼします。
 
 
 
 
受精卵

 

・性染色体異常を持つ精子は、異数性胚へと繋がります。


・二倍体精子の場合、卵子と受精すると三倍体胚となります。
 
 
 
 
妊娠

 

・SATの検査結果に異常が認められた場合、

 
  ICSI(卵細胞質内精子注入法)後の妊娠率は低下し、
 
 流産率が上昇します。
 
 
 
 
子供への遺伝

 

・精子の染色体異常がある場合、その子供が遺伝子疾患になるリスクが、

 

増加します(ダウン症候群、クラインフェルター症候群、ターナー症候群)。

 

糖質の摂取量と男性の精子濃度との関連について

2018年8月20日 月曜日

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糖質の摂取量が多いほど男性の精子濃度が低くなる。

 
ハーバード公衆衛生大学院の研究者らは、ロチェスター大学で、
 
健康な男性学生(18~22歳)を対象に、2009~2010年にかけて、
 
環境中の汚染物質の精子の質への影響を評価するために実施しています。
 
調査で、食物摂取頻度調査で糖質の摂取量と精液の質との関係を調べました。
 
 
糖質の摂取量を4段階に分けたところ、糖質の摂取量が多くなるほど、
 
精子濃度が低くなることがわかりました(49、47、37、35)。
 
 
このことから糖質の摂取量と精液中の精子濃度が関連していると、
 
結論づけています。
 
また

 
『アジア人男性7282人における食事パターンと精液の質の関係性』
 
全7282名のアジア人男性に食事パターンに関するアンケートを実施し、
 
それぞれの精子検査を行った。 「欧米式の食事」が多いほど、精子濃度
 
および精子正常形態率の低下が生じた。
 
 
同様に、
 
「甘いお菓子や甘味飲料(ジュース等)」の摂取量が多いほど、
 
より低い精子濃度となる関連性があった。
 
「高炭水化物食」の摂取量の増加は、異常な精子運動率および
 
前進精子運動率、の増加と関連していた。
 
 
 
同様に、「高ナトリウム食(インスタント食品等)」の摂取量の増加は、
 
 
異常な精子正常形態率の上昇と相関していた。
 
 
 
The Association between Dietary Patterns and Semen Quality in a General Asian Population of 7282 Males