『男性の精子に対する抗うつ薬の影響について(ヒト・動物実験含めて)』

2023年4月15日 土曜日

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1111/iju.14111

 

上記の論文レビューで報告されている抗うつ薬の影響をまとめて記載させていただきます。

 

 

現在抗うつ剤を服用されている患者は、うつ症状が安定していることが大切で、 不妊治療中はすべての抗うつ薬が使えないイメージがありますが使えるお薬と使えないお薬があります。

 

 

SSRIs

 

フルオキセチン (英: Fluoxetine、商品名 プロザック®)
ラット:精子形成、精子濃度・運動率の低下
ラット:妊娠率及び着床率の低下、生殖器官重量の減少

 

 

フルボキサミン (英: Fluvoxamine、商品名 デプロメール®、ルボックス®)
ラット:精子濃度・運動率の低下、異常形態精子の増加
ラット:精巣の酸化ストレスとアポトーシスの増加
FSH、LH、テストステロン、エストロゲンの減少

 

 

セルトラリン(英: Sertraline、商品名 ジェイゾロフト®)
ヒト症例報告:精子濃度、運動率の低下 ラット 精巣の変性、酸化ストレス
ヒト前向き研究:精子数の減少、異常形態精子の増加、精子DNA断片化率の増加
ラット:精子DNA断片化率の増加と異常形態精子の増加、精子数の減少
ラット:精巣の変性、酸化ストレス

 

 

シタロプラム(英: Citalopram、商品名 セレクサ®)
ヒト症例報告:精子数および運動率の減少、異常形態精子の増加
ラット:精子DNA 鎖切断および酸化ストレスの増加、異常形態精子の増加
ラット:精嚢の大きさ減少、精細管の容量減少

 

 

パロキセチン (英: Paroxetine、商品名:パキシル®)
ヒト前向き研究:精子DNA 断片化率の増加
エスシタロプラム(英: Escitalopram、商品名:レクサプロ®)
ヒト前向き研究:精子濃度・運動率の低下、異常形態精子の増加

 

 

 

SNRIs

 

ベンラファキシン(英: Venlafaxine、商品名:イフェクサー®)
ヒト前向き研究:正常形態率と精子生存率の改善、非進行性運動率の増加

 

 

デュロキセチン(英: Duloxetine、商品名:サインバルタ®)
ヒト前向き研究:精液所見・精子DNA断片化率・血清ホルモン値に影響なし

 

 

三環系抗うつ薬

 

アミトリプチリン(英: Amitriptyline、商品名トリプタノール®)
ヒト前向き研究(複数あり):
①射精量、精子数および正常形態精子の増加
②精子濃度および生存率の減少
③精子数および正常な形態の減少
④生殖細胞突然変異の増加

 

 

モノアミン酸化酵素阻害薬(MAOI)

セレギリン(英: Selegiline、商品名:エフピー® )
ラット:精子数および生存率の増加
ラット:精巣質量の増加

 

 

非定型抗うつ薬(三環系、四環系、SSRI, SNRI 以外の抗うつ剤)

トラゾドン(英: Trazodone、商品名:デジレル® 、レスリン® )
ラット:精子濃度、運動率、正常形態精子の低下、精子DNA断片化率の増加