AIHやIVF、ICSIを受けていても,排卵期以外でも性行為を増やしましょう

2015年10月16日 金曜日

ドラッグストアーもりぎん奥田店の大橋です。

 

今回は先日、不妊治療中の性行為についての発表がありましたので

 

発表いたします。店頭ですでに聞かれたかたは復習ようで読んでくださいね~~。

 

たとえ、排卵期以外でも、人工授精や体外受精、顕微授精を受けていても、

 

たくさん性交したほうが妊娠に有利であるという免疫的なメカニズムを確かめた研究結果が発表されました。

 

不妊治療は、たいていは「タイミング指導」からはじまります。それは性交のタイミングが妊娠の確率を左右するからです。

 

ところが、性交の「タイミング」だけでなく、「回数」も妊娠率を左右することが知られています。

 

妊娠の可能性があろうが、なかろうが、すなわち、排卵期以外でも、とにかく、たくさん性交したほうが妊娠しやすくなるのです。

 

その理由として、どうも、女性の身体に備わった免疫システムが関わっているのではないかと考えられてはいましたが、本当のところはよくわかっていませんでした。

 

ところが、アメリカのインディアナ大学の研究チームがそのメカニズムを確かめたとの研究結果を発表して、大変な話題になっています。

 

とても有用な情報、かつ、人間の身体の働きの精巧さを教えてくれて感動的でさえあります。

 

 

 

早速、ご紹介します。

 

免疫と生殖のつなひきとは?

 

 

精子や胚、胎児は女性の身体にとっては「異物」です。

 

ですから、女性の免疫システムは、当然、それらを排除しようとします。これは妊娠、出産することの障害になります。

 

つまり、そもそも、免疫と生殖、すなわち、外からの侵入者を排除し、自分の身体を守る働きと、精子を受け入れ、

 

遺伝的に自分の半分の胚や胎児が成長していくことの間には大きな「矛盾」があるというわけです。

 

ただし、これまでの研究で、精子を子宮の入り口で排除していた頚管粘液の質が排卵が近づくと変化し、

 

精子を受け入れるようになったり、妊娠すると女性の免疫システムが変化し、胎児を守るように働くようになることが知られていました。

 

インディアナ大学の研究チームは、カップルの性行為も免疫システムに妊娠をサポートするような影響を及ぼしているのではないかと考え研究を行いました。

 

 

━ 性行為が免疫システムに及ぼす影響を調べる

 

 

パートナーと活発な性行為のある女性14名とパートナーがいなくて性行為のない女性16名の月経期、卵胞期、排卵期、黄体期の4回、唾液を採取し

 

唾液中の2つの生殖ホルモン(エストロゲン、プロゲステロン)、そして、2つのサイトカイン(インターフェロンγ(IFN-γ)、

 

インターロイキン-4(IL-4))の値を測定し、性行為と免疫システムの関係を調べました。

 

サイトカインというのは、免疫システムの細胞から分泌されるタンパク質で、細胞と細胞の間の情報伝達を行うホルモンのような働きをします。

 

IFN-γは、ヘルパーT細胞のTh1細胞から、IL-4はTh2細胞から分泌され、

 

この2つのサイトカインのバランスを介してさまざまな免疫反応が働いていることが知られています。

 

そして、これまでの研究は、妊娠中はTh2が優位になり胎児を守るような、また、Th1が優位になると流産を起こるような免疫反応が働くことがわかっています。

 

つまり、Th2(IL-4)が優位な状態は妊娠をサポートするような、Th1(IFN-γ)が優位な状態になると妊娠を阻害するような免疫反応が、それぞれ、起こるというわけです。

 

果たして、試験の結果は仮説を支持するような内容で、活発な性交がある女性の黄体期はTh2のサイトカインが優位にあり、反対に性交のない女性ではそのようなTh2の優位性は見られませんでした。

 

活発な性行為は排卵後の妊娠をサポートするような免疫反応を引き起こす働きがあることが確かめられたのです。

 

 

 

━ 人工授精や体外受精を受けていても活発な性行為は妊娠に有利に働く

 

 

性行為をたくさんの回数行うことによって、タイミングだけでなく、免疫システムが妊娠をサポートしてくれるというのです。

 

これまでの研究でも、タイミングをあわせようとするよりも、回数を増やすほうが妊娠率が高くなると報告されていますが、

 

その背景には免疫システムの働きも関与しているはずです。そして、声を大にして伝えたいのは、

 

このことは自然妊娠だけでなく、人工授精や体外受精、顕微授精の治療周期でも同じことが言えるということです。

 

不妊治療を受けるようになると、特に体外受精や顕微授精などの高度な治療を受けるようになると性交回数が減ってしまう現象が報告されています。

 

元々、夫婦間の性交が少なかったから不妊治療を受けるようになったのかもしれませんし、高度治療になると妊娠のための性交が必要なくなると思うようになったのかもしれません。

 

もしも、そうだとすれば、大変、「もったいない」ことです。

 

人工授精でも、体外受精でも、顕微授精でも、たくさん、性交すべきです。

 

そのことによって、子宮内で胚が着床するように身体が後押ししてくれるようになり、少しでも妊娠率の向上に寄与するはずです。

 

 

 

━ 性交は精神的にも肉体的にも生殖機能にプラスになる

 

 

妊娠、出産はカップルの協働作業であることは言うまでもありませんし、不妊治療もカップルで協力し、励まし合い、支え合い、取り組むものです。

 

性交はカップルの関係性を高めます。そして、今回、排卵期以外でも、そして、不妊治療を受けていても、アクティブな性交は妊娠にプラスに働くことがわかりました。

 

つまり、性行為は妊娠を望むカップルにとって、精神的にも、肉体的にも、プラスに働くというわけです。

 

夫婦の「性」を大切にしたいですね。

 

 

・文献:Sexual activity modulates shifts in TH1/TH2 cytokine profileacross the menstrual cycle: an observational study.Fertility and Sterility ARTICLE IN PRESS.

Interaction of menstrual cycle phase and sexual activity predictsmucosal and systemic humoral immunity in healthy women.Physiology & Behavior 2015; 152: 92-98

 

2013-10-07 11.35.39-4

 

横浜 みなとみらい ランドタワーDOGにて撮影