女性の年齢と不妊症の関係

2021年2月17日 水曜日

患者様をカウンセリングしていると良く聞かれる質問で実際のところ、いつまで妊娠出産ができますか?と言うようなご質問を頂きます。

 

今回はデータから見る『女性の年齢と不妊症の関係』について書きたいと思います。

 

 

『35歳で不妊症が増加、40歳でさらに加速』

 

 

女性の加齢と妊娠率の関係は、17〜20世紀における女性の年齢と出産数について調べたデータを見てみるとよくわかります。というのも、当時は避妊法が確立されていなかったため、バースコントロールされていない状態の出産状況がわかるからです。

 

 

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女性の年齢とともに出産数は下がり、35歳で減少率が加速、40歳を過ぎるとさらに急速に減少していったことがわかります。

 

これは、現代における年代別・不妊症患者の割合の推移と一致しています。

 

実際に、現在不妊に悩んでいる人の割合は25〜29歳で8.9%、30〜34歳で14.6%、35〜39歳で21.9%、40〜44歳で28.9%。

 

「女性の年齢による妊孕力の変化」を調査した当時より私たちの平均寿命は延びていますが、女性の加齢における妊娠率の低下は、寿命が延びても影響をほとんど受けないようです。

 

また、夫が無精子症の場合に健康な男性から提供された精子を用いて妊娠をはかる非配偶者間人工授精(AID)の治療成績を見てみると、女性の年齢の増加にともなって妊娠率が低下しています。成績が急激に落ちるのは、やはり35歳以降。このことからも、女性は35歳を過ぎると妊娠しにくくなることがわかります。

 

 

 

『不妊の原因は、卵子の質の低下だけではない!?』

 

女性が年齢を重ねるごとに妊娠しにくくなる理由は、卵子の質が低下することにあります。けれども加齢による不妊の原因は、それだけではありません。

 

年齢が高くなると、卵管炎や子宮筋腫、子宮内膜症など不妊の原因となる病気になる確率もアップ。

 

とくに、卵管やその周囲が炎症をおこす卵管炎にかかると、卵管が狭くなったりふさがったり、癒着が生じたりし、排卵した卵を卵管にきちんと取りくむことできなくなります。子宮内膜症も卵管周囲の癒着がおこり、卵子が卵管に入ることができなくなる危険性が。

 

さらに骨盤内の環境自体も悪くなり、受精卵の成長や着床に悪影響をおよぼすと指摘されています。また子宮筋腫も、受精卵の着床や成長を阻害するリスクを高めます。

 

 

 

『不妊治療における妊娠率も、年齢を重ねるごとに低下』

 

このように女性は加齢とともに自然妊娠しにくくなり、35歳以降はその傾向がより強くなります。それでは、生殖補助医療による妊娠率や生産率はどうでしょう。

 

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図を見ると、35歳前後から妊娠率が低下し、流産率が増加していることがわかります。

 

体外受精や顕微授精などの生殖補助医療においても、自然妊娠と同様に、加齢による影響を受けるのです。

 

さらに無事着床して妊娠が成立しても、年齢とともに赤ちゃんが死亡する割合が高くなることもわかっています。

 

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周産期死亡率とは、妊娠22週以降の胎児や生後1ヵ月以内の新生児の死亡率のことです。

 

グラフを見ると、最も死亡率が低いのが25〜29歳で、そこからは年々増加。

とくに40歳以降になると、25〜29歳の倍以上の割合になっています。

女性の加齢は妊娠率を下げるだけでなく、健やかな出産や胎児の成長に悪影響を及ぼしかねないのです。