夫婦生活は朝と夜ならどちらの方が妊娠しやすいですか?」と患者様に尋ねられる事があります。
エビデンスを調べてみたところ、精液所見が朝がよいという論文があることがわかりました。
何を調べた論文かというと、
体内時計のサーカディアンリズム(概日リズム)と
サーカニアルリズム(概年リズム)が精液所見に影響を与えるかどうかを調べた報告です。
≪論文紹介≫
『精液所見は午前・午後、季節で変わるのか?』
『Diurnal and seasonal changes in semen quality of men in subfertile partnerships』
https://www.tandfonline.com/doi/abs/10.1080/07420528.2018.1483942
1994年-2015年に、スイスのチューリッヒ大学病院で採取された7,068人の男性(平均年齢は37±7歳:18~69歳)の12,245個の精液サンプル(除外:(1)化学療法・放射線療法前後、(2)精管切除後、(3)TESE/MESA、(4)無精子症)を、精子濃度、総精子数、進行性運動率、正常形態を概日変化と季節変化を後方視的に検討しました。
精液採取は病院内もしくは自宅採取し一時間以内に持参してもらっています。
統計的評価にはMann-Whitney U検定と重回帰分析を用いています。
結果:
早朝7時30分以前に採取した精液サンプルでは、精子濃度、総精子数、正常形態が最も高く、いずれも統計的に有意でした。
進行運動率は時間による変化はありませんでした。
季節変動については、精子濃度と総精子数は春に有意な増加が見られ、夏には有意な減少が認めました。
正常形態率が最も高かったのは夏でした。進行運動率については、有意な季節変動は認めませんでした。
結論:
精液所見は、体内時計のサーカディアンリズム(概日リズム)とサーカニアルリズム(概年リズム)に影響を受けます。