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皆様、よいお年をお迎えくださいませ。
2020年12月28日 月曜日
2020年12月21日 月曜日
人には本来、体の中に異物が入ってきた時にそれを攻撃する反応が起こります。
この免疫の働きが不育症の要因となることについて書きます。
(自己抗体異常)
自己抗体異常とは、自分の体の細胞を自分の抗体で攻撃してしまう病態です。
本来、抗体は細菌などの異物に対して自分を守るために攻撃を行うものですが、自己抗体異常の場合は、自分の細胞に対して攻撃し、流産を引き起こすと考えられます。
この治療には以下のものがあります。
治療① 低用量アスピリン療法
月経周期の高温期(排卵後7日目頃)から低用量アスピリン(100mg)錠を1日1回、1錠内服します。通常妊娠27週末まで続けます。
治療②柴苓湯(さいれいとう)(漢方)内服療法
異常が判明しだい内服開始し、分娩前まで継続します。
喘息等でアスピリンが使用できない方の選択肢にもなります。
自己免疫疾患の可能性がある場合には専門科へご紹介し、ともに出産に向けて治療を行っていきます。
(同種免疫異常)
胎児の半分は父親の遺伝子由来ですので、胎児は母体にとって自分とは異なる遺伝子をもつ「異物」です。
妊娠時は母体側と胎児への攻撃を抑制(寛容)する反応が働き、妊娠が継続されます。
ところが、同種免疫異常の場合、攻撃が強すぎたり、寛容がうまく働かずに流産となることがあります。
主に、免疫に関与するヘルパーT細胞の検査(Th1/Th2)を行い、異常があれば免疫抑制剤のタクロリムスという薬を使用します。
2020年12月18日 金曜日
血液の凝固因子について書きます。
血液は、傷や出血があった際には、様々な因子が働いて固まる仕組みになっていますが、血液が固まりやすい状態が不育症の要因となると考えられていて、次のようなものがあります。
(抗リン脂質抗体症候群)
抗リン脂質抗体症候群では、血液が固まりやすく(血栓ができやすく)、胎盤の血液循環が悪くなり、流産を起こしやすくなると考えられています。
(血液凝固系異常)
プロテインS、プロテインC、血液凝固第Ⅻ因子など、血栓を予防する物質が低下することにより、血が固まりやすくなり、流産を起こしやすいとされています。
これらの場合には共通して以下の治療を行います。
治療① 低用量アスピリン療法
月経周期の高温期(排卵後7日目頃)から低用量アスピリン(100mg)錠を1日1回、1錠内服します。
通常妊娠10週あるいは27週末まで続けます。
治療② ヘパリン療法
妊娠判明時から開始します。
異常項目の種類や過去の流死産の既往により、妊娠初期のみ、あるいは分娩前頃まで、ヘパリン2500〜5000単位を1日2回皮下注射(合計1日5000〜10000単位)します。
毎日注射しますので、自己注射をご指導されます。
治療①または②を単独で、あるいは治療①、②の併用療法を行います。
併用療法は原則として検査値が2回連続して陽性の場合の方が対象となります。
治療による副作用
低用量アスピリン療法、ヘパリン療法を行うと、通常に比べ出血しやすくなります。
ヘパリン療法開始時は、まれですが血小板減少という副作用が起こることがありますので、頻回に血液検査して異常がないか調べます。安定すれば2週〜1カ月おきに検査します。
出血の危険性が高いため、ヘパリン療法を中断しなければならない方が稀にいらっしゃいます。
また、アスピリンにより端息が誘発されることがあります。端息の既往がある方は医師にご相談下さい。
2020年12月15日 火曜日
(子宮の異常)
子宮筋腫、子宮内膜症、子宮形態異常(双角子宮、中隔子宮、重複子宮など)、子宮腔内癒着、内膜ポリープなどが流早産の原因となることがあります。
子宮鏡検査や子宮卵管造影検査、必要に応じてMRI検査などを行い、流早産の原因となる可能性が高そうな場合は、子宮鏡下手術、腹腔鏡手術(専門施設へご紹介)等により治療を行います。
(感染症)
ウイルス感染症、クラミジア感染症など
膣、子宮、卵管などに炎症を起こしやすい菌やウイルス、病原微生物の感染は妊娠維持を妨げることがあります。
治療には抗菌薬を内服したり、膣内に投与を行います。また、感染予防もご提案します。
(染色体変化)(ご夫婦いずれか)
夫、または妻のいずれかに染色体変化がある場合に流産を繰り返すことがあります。
染色体の変化がわかった場合、残念ながら治療の方法がありません。
しかし、最終的には赤ちゃんを授かることができるケースも少なくありません。