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卵子の中にある女性の染色体の数のお話 その2

2021年5月30日 日曜日

 

 

 

下の図は卵子の成熟過程を示したものです。左からGV→MI→MIIの順で成熟してゆき、精子が侵入します。人間に例えると小学生→中学/高校生→大人の順に成人し、結婚となります。

 

卵子の写真の見た目の変化を見ていくと、GVでは卵子の中に袋が一つ、MIでは卵子の中の袋が消え、MIIでは卵子の外に小さなボールが出現しています(左から3番目の写真の白い矢印)。

 

この見た目の変化が、卵子中の染色体の数を減らしていく過程に密接に関係しています。次に、見た目には表れない卵子内部の染色体の動きをイラストで示します。

 

 

 

 

 

 

GVでは卵子の中に女性の染色体が4つあります(一番左)。MIでは4個の染色体が2個-2個に数を減らして2つに分かれます(左から二番目)。

 

これは減数分裂と呼ばれています。MIIでは、この2個-2個に分かれた染色体のうち、半分の2個は卵子本体の外側に放出、もう半分の2個は卵子本体の内側に残った状態となります(左から三番目)。

 

したがって、MIIと呼ばれる時期に卵子の外に見える小さなボールの中には女性の染色体が2個入っていることがお分かり頂けると思います。卵子は、この状態で暫く成長・成熟の動きを一時停止して、精子の侵入を待ちます。

 

この精子を待っている状態では、卵子の中の染色体の数は2個なので、ここから更に1個減らしてゆきます。

 

次に、精子が侵入してから卵子本体の中にある2個の染色体が最終的に1個に減る過程を説明します。

 

 

 

 

 

 

精子が侵入した後の外観の変化を見てみると(上段の卵子の実際の写真)、左から精子侵入→減数分裂では外観に大きな変化は見られません。次に見られる変化は、左から3番目の写真に見られるように、二番目(二個目)の小さなボールが卵子の外に出現します(白い矢印)。

 

次いで、一番右側の写真が示すように卵子本体の中に袋が2つ見える状態となります。この状態が受精と呼ばれる時期となります。

 

下段に示した、見た目には表れない卵子内部の染色体の動きを示したイラストを見てみましょう。精子侵入を察知すると卵子は、卵子本体の中にある2個の染色体を、今度は1個-1個に数を減らして2つに分かれます(左から2列目)。

 

卵子の中で起こる2度目の減数分裂になります。減数分裂の次は、この1個-1個に分かれた染色体のうち、半分の1個は卵子本体の外側に放出、もう半分の1個は卵子本体の内側に残った状態となります。

 

侵入した精子の頭の中には男性の染色体が1個入っていますので、この時点で初めて男性と女性の染色体が1:1の状態で出会う準備が整います。したがって、この時に卵子の外に見える大き目のボールの中には女性の染色体が2個、小さ目のボールに入っている女性の染色体が1個入っていることがお分かり頂けると思います(左から3、4列目)。

 

そして、卵子の中に残った女性の染色体1個から母親の遺伝情報が入った袋が一つ(左から4列目の写真、黄色い矢印)、精子の頭から父親の遺伝情報が入った袋が一つ(左から4列目の写真、白い矢印)、合計二つの袋が見える状態“受精”となります(左から4列目)。

 

 

 

 

 

 

一番始めに卵子の中の染色体数は「四つから一つ」に減ると申し上げましたが、厳密に言うと、最初に卵子の中にある「4個」の染色体は始めに卵子の外に「2個」、次いで「1個」、合計「3個」放出されることで卵子の中に「1個」だけ残った状態となります。

 

なので卵子を覆っている卵子内部の女性の染色体の数の合計は常に「4個」です。あくまでも卵子本体の中に残っているのが「1個」になっている状態となります。

 

卵子本体の外に放出されてしまった合計「3個」の余りの女性染色体ですが、決してダメな染色体という訳ではなさそうです。

マウスでの検証によれば、この卵子の外に放り出された3個の女性染色体を取り出して、これらを利用して3匹のマウスの赤ちゃんを誕生させることに成功しているそうです。

 

この実験結果から、卵子の外に放り出された女性染色体はちゃんと機能していることが分かります。

 

4個の染色体のうち、最後に卵子の中に残る染色体はどうやって決まるのか?卵子本体の外に放り出された「余り」の染色体達は受精後に何らかの役割があるのか?等疑問に思うことは多々ありますが分かっておりません。

 

 

 

 

 

以上、卵子中の女性の染色体の数にまつわるお話を2回に分けてお話しました。卵子の神秘的な一面を知って頂けますと嬉しいです。

卵子の中にある女性の染色体の数のお話 その1

2021年5月25日 火曜日

今回は卵子の中にある女性の染色体の数にまつわるお話を2回に分けてお話します。これは未だに神秘的で不思議に思う現象の一つです。

ヒトの染色体の数は全部で46本あります。

 

半分の23本は父親から、もう半分の23本は母親から譲り受けます。

 

父親の23本と母親の23本が合わさって合計46本となります。

 

 

この父親から譲り受ける23本の染色体は精子の頭の中に、母親から譲り受ける23本の染色体は卵子の中に存在しています。

精子が卵子の中に入って(受精)、ここで父親と母親の染色体が出会って赤ちゃんの染色体が出来上がります。

 

 

 

父親と母親それぞれの23本の染色体を一括りにして「一つ」と考えると、最終的に父親染色体一つと母親染色体一つが「1:1」で出会うことになります。

 

こう考えると卵子の中に母親染色体は「一つ」しかないように思えます。

 

しかし、実際には卵子の中に母親染色体は「四つ」もあります!

 

精子の頭の中に父親染色体は「一つ」しかありませんので、このままでは父親染色体と母親染色体が「1:4」で出会うことになってしまいます。

 

このような形で出会わないようにするため、卵子は母親染色体の数を「四つから一つ」に減らしてゆき、最終的に父親染色体と「1:1」で出会うように調節します。

 

次回は卵子の中の染色体が「四つから一つ」に減っていく過程をお話します。

男性不妊について

2021年5月1日 土曜日

男性不妊の概要

 

男性側の不妊原因の90%以上が精子を作る機能に障害がある「造精機能障害」という結果になっています。

そのうちの約半分は原因が特定できますが、残りの半分は原因が不明です。

 

 

 

男性不妊の治療

 

精液検査の結果をもとに薬物療法や外科手術、または体外受精を行います。

精液検査の所見は、定められた基準で評価されます。(WHOガイドライン)

 

 

無精子症

 

無精子症は、大きく2つのタイプに分かれます。

 

睾丸の造精機能が不足している場合(非閉塞性無精子症)と、睾丸と尿道をつなぐパイプ部分に問題がある場合(閉塞性無精子症)です。

 

同じ無精子症という言葉ですが、これらの原因と治療法は大きく異なります。

 

また、無精子症というと精子が全く存在しないと思われがちですが、実は無精子症と診断された患者さんの精巣内を検査したところ、44%の患者さんにわずかですが精子を認めることができました。

 

この場合は陰嚢から精子を採取し顕微授精(ICSI)を行うことができます。

※ 無精子症の場合、以下の方法で精子を回収します。

 

『コロナ禍の妊活・妊娠Q&A②』

2021年4月11日 日曜日

現在のコロナ禍の中、妊活中の患者様から妊娠しても大丈夫?感染したらどうする?などの質問を多数頂きます。

 

現在、論拠となるエビデンスも少しづつですが増え始めお答えできる内容も増えてきました。

 

今回は
『コロナ禍の妊活・妊娠Q&A』
と題して患者様からの質問Q4からの続きをお送り致します。

 


 

 

【Q4】コロナ禍のいま妊娠したら、どんなことに気を付ければいいですか?

 

妊娠中は免疫力が下り、体調を崩しやすくなります。規則正しい生活とバランスの取れた食事を心掛けるとともに、感染症対策は妊娠前以上に念入りに行ってください。

 

また、仕事をする上で、新型コロナウイルス感染症に感染するのではないか?という心配があったり、そうした心配がストレスになって自身や赤ちゃんの健康に影響があると考えられる場合は、かかりつけ医に相談を。

 

その上で勤務先に時差通勤やテレワーク、休暇などが取れないかどうか、申し入れてみてください。これは男女雇用機会均等法に基づく母性健康管理措置として、妊娠中や出産後1年以内の女性労働者に認められているものです。

 

なお、勤務先と相談するときには、かかりつけ医に「母健連絡カード(母性健康管理指導事項連絡カード)」を書いてもらい、提出するのがお勧めです。

 

 

 

【Q5】妊娠中にコロナ感染が疑われる症状が出たら、どうすればいいですか?

 

 

現時点では、妊婦さんだからといって重症化しやすいという傾向は認められていません。ただし、一般的に妊娠中は肺炎になった場合は重症化する可能性が高いので、注意が必要です。

 

せきや発熱など感染が疑われる症状が出たら、あまり間を置かずにかかりつけ医に相談してください。この場合、直接出向くのは避け、電話で連絡します。

 

なお、妊婦さんはPCR検査の公的補助の対象になります。

 

 

 

【Q6】妊娠中に家族が感染したら、どうすればいいですか?

 

 

新型コロナウイルス感染症に感染した場合、基本的には入院あるいは宿泊施設での療養となります。ただし、入院などをするまでに自宅で過ごす場合もあるようなので、その際は可能な限り感染者とは接触しないようにしてください。これは濃厚接触者の場合も同様です。

 

具体的には、感染者や濃厚接触者とは過ごす部屋を分けます。双方ともマスクを着け、手洗いや消毒は丁寧に。また、自分が過ごす部屋はこまめに換気を行い、トイレやお風呂、ドアノブなど共用部分もしっかり消毒します。

 

感染者あるいは濃厚接触者となった家族のことは心配でしょうが、妊婦さんがお世話をすることは絶対に避けてください。

 

なお、無症状者や軽症者に関しては地域によっては自宅療養になることもあるようですが、妊婦さんが同居していることを伝え、できるだけ入院または宿泊療養できるようにお願いすることをお勧めします。

 

 

 

【Q7】妊娠中にコロナ感染した場合、母体や赤ちゃんにどんな影響がありますか?

 

先にも述べたように、現時点では、妊婦さんが新型コロナウイルス感染症に感染した場合に、重症化しやすいという報告はありません。さらに、流産や死産しやすいといった報告もいまのところなく、胎内感染や胎児の異常も極めてまれといわれています。ただし、妊婦さんは肺炎を起こすと重症化しやすい傾向にはあります。

 

なお、妊娠中に感染した場合、治療や妊婦健診はかかりつけ医ではなく、新型コロナウイルス感染症に対応できる医療機関で行うことになります*。また、妊娠後期に感染した場合は、分娩(ぶんべん)もかかりつけ医ではなく感染症に対応できる医療機関で行うことになり*、帝王切開になる可能性が高いといわれています。

 

感染が拡大し、どこで感染してもおかしくないといわれる新型コロナウイルス感染症ですが、特に妊婦さんは感染しないに越したことはありません。不要不急の外出や人ごみなどは避け、マスクを着用し、こまめに手洗いするなど感染防止に努めましょう。

 

*かかりつけ医が新型コロナウイルス感染症に対応できる場合は除きます。

 

正しい情報を知って赤ちゃんを迎えましょう

 

まだわからないことも多い新型コロナウイルス感染症ですが、むやみに恐れる必要はありません。現時点でわかっている正しい情報を知り、冷静に対処することがお勧めです。大切なのは基本的な感染症対策。しっかり対策を取り、ストレスをためずに日々の生活を送ることが、妊活や妊娠生活にプラスに働くでしょう。

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