現在のコロナ禍の中、妊活中の患者様から妊娠しても大丈夫?感染したらどうする?などの質問を多数頂きます。
現在、論拠となるエビデンスも少しづつですが増え始めお答えできる内容も増えてきました。
今回は
『コロナ禍の妊活・妊娠Q&A』
と題して患者様からの質問Q4からの続きをお送り致します。
【Q4】コロナ禍のいま妊娠したら、どんなことに気を付ければいいですか?
妊娠中は免疫力が下り、体調を崩しやすくなります。規則正しい生活とバランスの取れた食事を心掛けるとともに、感染症対策は妊娠前以上に念入りに行ってください。
また、仕事をする上で、新型コロナウイルス感染症に感染するのではないか?という心配があったり、そうした心配がストレスになって自身や赤ちゃんの健康に影響があると考えられる場合は、かかりつけ医に相談を。
その上で勤務先に時差通勤やテレワーク、休暇などが取れないかどうか、申し入れてみてください。これは男女雇用機会均等法に基づく母性健康管理措置として、妊娠中や出産後1年以内の女性労働者に認められているものです。
なお、勤務先と相談するときには、かかりつけ医に「母健連絡カード(母性健康管理指導事項連絡カード)」を書いてもらい、提出するのがお勧めです。
【Q5】妊娠中にコロナ感染が疑われる症状が出たら、どうすればいいですか?
現時点では、妊婦さんだからといって重症化しやすいという傾向は認められていません。ただし、一般的に妊娠中は肺炎になった場合は重症化する可能性が高いので、注意が必要です。
せきや発熱など感染が疑われる症状が出たら、あまり間を置かずにかかりつけ医に相談してください。この場合、直接出向くのは避け、電話で連絡します。
なお、妊婦さんはPCR検査の公的補助の対象になります。
【Q6】妊娠中に家族が感染したら、どうすればいいですか?
新型コロナウイルス感染症に感染した場合、基本的には入院あるいは宿泊施設での療養となります。ただし、入院などをするまでに自宅で過ごす場合もあるようなので、その際は可能な限り感染者とは接触しないようにしてください。これは濃厚接触者の場合も同様です。
具体的には、感染者や濃厚接触者とは過ごす部屋を分けます。双方ともマスクを着け、手洗いや消毒は丁寧に。また、自分が過ごす部屋はこまめに換気を行い、トイレやお風呂、ドアノブなど共用部分もしっかり消毒します。
感染者あるいは濃厚接触者となった家族のことは心配でしょうが、妊婦さんがお世話をすることは絶対に避けてください。
なお、無症状者や軽症者に関しては地域によっては自宅療養になることもあるようですが、妊婦さんが同居していることを伝え、できるだけ入院または宿泊療養できるようにお願いすることをお勧めします。
【Q7】妊娠中にコロナ感染した場合、母体や赤ちゃんにどんな影響がありますか?
先にも述べたように、現時点では、妊婦さんが新型コロナウイルス感染症に感染した場合に、重症化しやすいという報告はありません。さらに、流産や死産しやすいといった報告もいまのところなく、胎内感染や胎児の異常も極めてまれといわれています。ただし、妊婦さんは肺炎を起こすと重症化しやすい傾向にはあります。
なお、妊娠中に感染した場合、治療や妊婦健診はかかりつけ医ではなく、新型コロナウイルス感染症に対応できる医療機関で行うことになります*。また、妊娠後期に感染した場合は、分娩(ぶんべん)もかかりつけ医ではなく感染症に対応できる医療機関で行うことになり*、帝王切開になる可能性が高いといわれています。
感染が拡大し、どこで感染してもおかしくないといわれる新型コロナウイルス感染症ですが、特に妊婦さんは感染しないに越したことはありません。不要不急の外出や人ごみなどは避け、マスクを着用し、こまめに手洗いするなど感染防止に努めましょう。
*かかりつけ医が新型コロナウイルス感染症に対応できる場合は除きます。
正しい情報を知って赤ちゃんを迎えましょう
まだわからないことも多い新型コロナウイルス感染症ですが、むやみに恐れる必要はありません。現時点でわかっている正しい情報を知り、冷静に対処することがお勧めです。大切なのは基本的な感染症対策。しっかり対策を取り、ストレスをためずに日々の生活を送ることが、妊活や妊娠生活にプラスに働くでしょう。