『不育症の原因と治療について④ 免疫の因子について』

2020年12月21日 月曜日

人には本来、体の中に異物が入ってきた時にそれを攻撃する反応が起こります。

 

この免疫の働きが不育症の要因となることについて書きます。

 

 

 

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(自己抗体異常)

 

自己抗体異常とは、自分の体の細胞を自分の抗体で攻撃してしまう病態です。

 

本来、抗体は細菌などの異物に対して自分を守るために攻撃を行うものですが、自己抗体異常の場合は、自分の細胞に対して攻撃し、流産を引き起こすと考えられます。

 

 

この治療には以下のものがあります。

 

 

治療① 低用量アスピリン療法

 

月経周期の高温期(排卵後7日目頃)から低用量アスピリン(100mg)錠を1日1回、1錠内服します。通常妊娠27週末まで続けます。

 

 

 

治療②柴苓湯(さいれいとう)(漢方)内服療法 

 

異常が判明しだい内服開始し、分娩前まで継続します。

喘息等でアスピリンが使用できない方の選択肢にもなります。

自己免疫疾患の可能性がある場合には専門科へご紹介し、ともに出産に向けて治療を行っていきます。

 

 

 

(同種免疫異常)

 

胎児の半分は父親の遺伝子由来ですので、胎児は母体にとって自分とは異なる遺伝子をもつ「異物」です。

 

妊娠時は母体側と胎児への攻撃を抑制(寛容)する反応が働き、妊娠が継続されます。

 

ところが、同種免疫異常の場合、攻撃が強すぎたり、寛容がうまく働かずに流産となることがあります。

 

主に、免疫に関与するヘルパーT細胞の検査(Th1/Th2)を行い、異常があれば免疫抑制剤のタクロリムスという薬を使用します。

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