温灸・温活

子宮内膜再生PRP療法

2019年8月16日 金曜日

今年の3月より承認が下りた新しい治療法をご案内致します。
 

 

 

『子宮内膜再生PRP療法』

 
 
PRP療法は、再生医療の一種で、ご自身の血液由来の多血小板血漿(たけっしょうばんけっしょう、Platelet-Rich Plasma)を用いた治療法で、近年歯科、関節の治療などへの使用が開始されました。

 

 
PRPを子宮内膜が厚くなりにくい患者様の子宮に注入し、PRPに含まれる様々な成長因子により子宮内膜の成長を促進させる治療法です。
 
 
子宮内にPRPを注入する治療法はより高度な「第二種再生医療等(*1)」に該当します。
 
 
PRP療法の原理

PRPの主成分は血小板です。血小板は、血液に含まれる成分で、指を切ったときなどに出血を止める働きがあります。

 
また血小板は、血小板由来成長因子(PDGF)、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)、上皮細胞成長因子(EGF)、線維芽細胞増殖因子(FGF)など様々な細胞成長因子を含んでいます。
 
これらの成分が傷口で放出されると、傷口の細胞増殖が活発になり傷の治りが早まります。
 
PRPを子宮内に注入すると、これらの成長因子が子宮内で放出されます。

その結果、子宮内膜で細胞の成長が促進され、子宮内膜が厚くなることが期待できます。

子宮内膜が厚くなると移植した胚が着床しやすくなりますので妊娠が期待されます。

 
 
 
対象となる方
 
PRP療法の対象となる方は、次の項目に該当する子宮内膜が厚くなりにくい方が対象となります。
 
・凍結融解胚移植の周期にホルモンを補充しているにもかかわらず子宮内膜が7 mmに達しなかったため胚移植がキャンセルとなったことがある患者様。

 

 
・子宮内膜発育不全と診断された患者様。
 
 
方法
 
患者様の前腕から静脈血を20 ml採取し、専用の機械(遠心分離機)で血漿部分を抽出します。

調製したPRP(1 ml)を、子宮用チューブで患者様の子宮内に注入します。 採取したPRPが固まるなど、その性状が注入に不適切と判断された場合には投与を中止することがあります。また、採血が複数回になることがあります。

 
image (17)
 
 
image (18)
 
 

投与スケジュール

 
月経周期(月経が始まった日が1日目)の10日目、12日目にPRPを子宮内に注入します。
 (12日目の2回目は患者様の希望で省略することができます)

 

 
月経周期の14日目に子宮内膜の厚さを経腟エコーで測定します
    ↓
 
月経周期の14日目から16日目頃に人工授精を行います
 (人工授精をおこなった場合、胚移植は行いません

    ↓
 
経周期の17日目から19日目頃に胚移植を行います
 (胚移植をおこなった場合、人工授精は行いません)

 

油性と水性の造影剤による子宮卵管造影検査後の妊娠率

2019年8月12日 月曜日

油性と水性の造影剤による子宮卵管造影検査後の妊娠率比較

The New England Journal of Medicine 

 
 
 
油性の造影剤を使った子宮卵管造影検査後を受けた女性の検査後の妊娠率や出産率は、水性の造影剤を使った子宮卵管造影剤検査を受けた女性に比べて高いことがオランダで実施された多施設無作為化比較対照試験で明らかになりました。

 

 
 
アムステルダム自由大学医療センターの研究グループは、子宮卵管造影検査の際に、油性の造影剤を使った場合と水性の造影剤を使った場合と検査後半年間の治療成績を比較し、油性の造影剤の有用性を検証すべく、オランダの27の不妊治療クリニックで無作為化比較対照試験を実施しました。

 

 
 
1,119名の子宮卵管造影検査を受ける女性を、油性の造影剤を使った検査(557名)と水性の造影剤を使った検査(562名)に無作為にわけました。

 

 
 
 
検査実施後6ヶ月間で
 
油性造影剤グループでは220名(39.7%)、水性造影剤グループでは161名(29.1%)が妊娠に至り、
 
また、油性造影剤グループでは214名(38.8%)、水性造影剤グループでは155名(28.1%)が出産に至り、
 
油性造影剤のほうが水性造影剤に比べて、妊娠率、出産率ともに有意に高いことがわかりました。

 

 
 
 
妊娠に至るまでの中央値は油性グループで2.7ヶ月、水性グループで3.1ヶ月と有意差はありませんでしたが、油性グループのほうが早期に妊娠に至った傾向がみられました。

 
 
 
また、妊娠の方法は油性グループ(220名)では
 
 
 
162名(73.6%)が自然妊娠
 
15名(6.8%)が卵巣刺激をしない人工授精
 
39名(17.7%)がマイルドな卵巣刺激を伴う人工授精
 
4名(1.8%)がART治療(体外受精や顕微授精)
 
 
 
によるものでした。

一方、水性グループ(161名)では

 
 
117名(72.2%)が自然妊娠
 
16名(9.9%)が卵巣刺激なしの人工授精
 
26名(16.1%)がマイルドな卵巣刺激を伴う人工授精
 
2名(1.1%)がART治療でした。

 

 
 
有害な事象の発生率は低く、両グループに差はありませんでした。

 

 
 
 
このことから、子宮卵管造影検査後の一般不妊治療(タイミング法や人工授精)の治療成績は油性の造影剤を使ったほうが水性の造影剤に比べて有意に高く、油性造影剤のほうが有用であることが確かめられました。

 

 
 
 
注釈

子宮卵管造影検査は、卵管の通過性や子宮の大きさや形を調べる検査のことです。腟からカテーテルで子宮内に造影剤を注入すると卵管へと流れるので、これをX線撮影し、卵管閉塞や卵管周囲の癒着、卵管水腫、子宮奇形の有無を調べます。

 
 
 
また、検査により卵管の通りがよくなり、人によっては妊娠しやすくなること、その場合、油性の造影剤と水性の造影剤があるのですが、油性の造影剤を使ったほうが妊娠率や出産率が高いことも知られています。

 

 
 
ころが、その根拠となる研究報告は、5つのRCT(無作為化比較対照試験)とそのメタ解析がありますが、出産率では有意差が認められなかったり、被験者数も553名が最大の研究であったり、決して、質の高い方法によるものとは言えなかったため、今回の多施設無作為化比較対照試験が実施されました。

 

 
 
その結果、油性の造影剤の有用性をより質の高い研究によって裏付けられたことになりました。

 

 
油性の造影剤を使った子宮卵管造影検査を受けることで、体外受精へのステップアップが不要になる可能性があることから、油性の造影剤を使った子宮卵管造影検査は必須と言えます。

 

 
子宮卵管造影検査、そのものは約100年前から始まった「古典的」検査ですが、体外受精が普及し、当たり前な治療法になった現代だからこそ、その重要性がより高くなっているように思います。
 
 
 
 
たんぽぽ茶ショウキT-1は飲用することにより顆粒膜細胞を増やし卵子の質を高め妊娠率が高まります。  
 
 
image (14)
 
 
image (15)
 
 
image (16)

 

野菜や果物からの残留農薬の摂取と治療成績との関係

2019年8月9日 金曜日

今回は 『野菜や果物からの残留農薬の摂取と治療成績との関係』  と言う論文が出ましたので和訳し添付致します。 
 

 

『野菜や果物からの残留農薬の摂取と治療成績との関係』

 

 

JAMA Intern Med. 

 

 
image (12)

 

 
 
残留農薬の多い野菜や果物を多く食べる女性ほど体外受精の妊娠率や出産率が低く、残留農薬は生殖力の低下に関連することがアメリカで実施された研究で明らかになりました。
 
 
ハーバード公衆衛生大学院の研究チームは、残留農薬の多い野菜や果物の摂取量と体外受精の治療成績との関連を調べるために、EARTH研究(マサチューセッツ総合病院で不妊治療を受けているカップルを対象に治療成績に影響する要因について調べている現在進行中の研究)に参加している325名の女性を対象にした観察研究を実施しました。
 
 
食物摂取頻度調査票を使い、過去1年間の食物の摂取頻度と1回のおよその摂取量を調べました。
 
 
そして、米国農務省の農薬データプログラムをもとに果物と野菜の残留農薬レベルをスコア(0-6)化し、
 
残留農薬高レベル(スコア4以上)と低〜中レベル(スコア3以下)に分類し、
 
それぞれの摂取量で4つのグループにわけ、その後の541治療周期の治療成績との関連を解析しました。
 
 
その結果、
残留農薬高レベルの野菜や果物の1日の平均摂取量は1.7皿
残留農薬低レベルの野菜や果物の1日の平均摂取量は2.8皿でした。
 
 
 
そして、残留農薬高レベルの野菜や果物を多く食べている女性ほど妊娠率や出産率が低く、最も多く食べている女性(1日2.3皿以上)は、最も少ない女性(1日1皿未満)に比べて、妊娠率が18%、出産率が26%低いことがわかりました。
 
 
 
残留農薬低レベルの野菜や果物を多く食べる女性ほど治療成績が良好でしたが、有意差のある関連ではありませんでした。
 
次に、流産のリスクとの関連を調べたところ、
残留農薬高レベルの野菜や果物の摂取量が多いほど流産率が有意に高く残留農薬高レベルの野菜や果物の摂取量が少ない女性から順番に、7%、23%、24%、そして、34%でした。
 
 
これらの結果から、残留農薬の多い野菜や果物の摂取量は低い妊娠率や出産率に有意に関連することがわかりました。
 
 
 
image.png
 
 
 
注釈

今回のハーバード大学のチームによる研究は、残留農薬の摂取量と高度生殖補助医療の妊娠率や出産率の関連を調べた世界で初めての研究とのことです。
 
 
これまでは、動物実験で農薬が生殖能力を低下させることが確かめられていたり、ヒトを対象とした研究では殺虫剤や除草剤の暴露(さらされること)が死産や流産のリスクが高くなることが確かめられていました。ただし、それらの研究は農業に携わる女性や農地の近くに住む女性を対象にしたものでした。
 
 
それに対して、今回の研究はマサチューセッツ総合病院で体外受精を受けた女性の日常の食事から摂取する残留農薬の量と治療成績との関連を調べたものです。
 
 
残留農薬の状況はアメリカや日本では異なることから、この研究の結果をそのままあてはめるわけにはいきませんが、可能な範囲で野菜や果物の選択や洗浄を心がけたほうがいいのかもしれません。
 
 
 
たんぽぽ茶ショウキT-1は残留農薬を解毒する働きがあります。
 
 
image (8)

 

砂糖入り清涼飲料水の摂取量と自然妊娠確率

2019年8月3日 土曜日

今回は『砂糖入り清涼飲料水の摂取量と自然妊娠確率との関係』
と言う面白い論文が出ましたので和訳し添付致します。  
 
 
 
『砂糖入り清涼飲料水の摂取量と自然妊娠確率との関係』
 
 
 
 
カップルのいずれかが1日に1本以上の砂糖入り清涼飲料水を飲むことは自然妊娠率の低下に関連することがアメリカで実施された研究で明らかになりました。
 

ボストン大学公衆衛生大学院の研究チームは、妊娠を希望するカップルの砂糖入り清涼飲料水の摂取量と妊娠しやすさの関係を調べるために、アメリカ合衆国とカナダ在住の3,828名の女性とその男性パートナー1,045名を対象に前向き研究を行いました。

 

 
 
被験者は、女性の年齢が21-45歳で妊娠を希望してから最長6周期を経過し、不妊治療を受けていないカップルで、最初に、直近1ヶ月間の飲料(砂糖入り清涼飲料水、ダイエット飲料、果物ジュース、栄養ドリンク、スポーツ飲料)の摂取量を含む質問票に回答してもらい、妊娠の成立、もしくは、最長で12回の月経周期迄、妊娠の有無について追跡調査し、カップルの清涼飲料水の摂取量と妊娠までに要した期間から算出した妊娠率との関係を統計解析しました。

 

 
 
年齢や生活習慣などの要因も影響を排除するように調整した後、
 
週に7本以上の砂糖入り飲料を飲む女性は飲まない女性に比べて周期あたりの妊娠率は19%低下(FR=0.81; 95%CI: 0.70,0.94)し、
 
同様に週に7本以上砂糖入り飲料を飲む男性は飲まない男性に比べてパートナーの女性の妊娠率は22%低下(FR=0.78; 95%CI: 0.63,0.95)しました。

 

 
 
砂糖入りソーダの摂取量はさらなる妊娠率の低下に関連し、1日に1本以上砂糖入り炭酸飲料を飲む女性は飲まない女性に比べて妊娠率は25%低下(FR=0.75; 95%CI: 0.59,0.95)し、
 
同様に1日に1本以上砂糖入り炭酸飲料を飲む男性は飲まない男性に比べてパートナーの女性の妊娠率は33%低下(FR=0.67; 95%CI: 0.51,0.89)しました。

このことから週に7本以上の砂糖入り清涼飲料水を摂取することで自然妊娠の確率が低下することが示唆されました。

 
 
 
 
image (7)

 

 
注釈

これまで砂糖入り清涼飲料水の摂取量と体外受精の治療成績との関連については、いくつかの研究報告がなされていますが、自然妊娠するまでに要する期間との関係を調査した研究がはじめてだったようです。

 
結果は、カップルの女性、男性のいずれかにおいても、1日に1本以上の砂糖入り清涼飲料水を飲むことは、自然妊娠に至るまでより長い期間かかるというものでした。

 

 
 
妊娠希望のカップルにとって、飲み物はミネラルウォーターやお茶などにしておくのが無難なようです。
 
image (8)