温灸・温活

『排卵期以外でも性交することで免疫的に妊娠に有利に!!』

2019年11月2日 土曜日

 

患者様をカウンセリングしているとよく御質問がある夫婦生活のタイミングの取り方に,
 
ついてですがインディアナ大学の面白い論文を見つけましたので要訳致します。 
 
  
 
 
image (9)
 
 

『排卵期以外でも性交することで免疫的に妊娠に有利になる』
 
 

 

 

月経周期を通して性交回数を増やすことで免疫システムが妊娠に有利に働くようになることがアメリカの研究で明らかになりました。

 

 

インディアナ大学のキンゼイ研究所の研究者らは、月経サイクルに限らず性交回数の多いカップルほど妊娠率が高くなるのは、性行為そのものが免疫システムに影響を及ぼしているのではないかと考え、研究を実施しました。

 

 

30名の健康な閉経前女性に、月経サイクル中の月経期、卵胞期、排卵期、黄体期の4回、唾液を提供してもらい、唾液中の生殖ホルモン(エストロゲン、プロゲステロン)や2種類のヘルパーT細胞(Th1、Th2)が放出するサイトカイン(IFN-γ、IL-4)を測定し、それぞれの値の月経サイクル内の変動と性交との関係を解析しました。

 

 

 

その結果、性交のあった女性では、黄体期に妊娠に有利に働くサイトカインが優勢でしたが、性交のなかった女性ではみられませんでした。

このことから、性交によって月経周期中の免疫反応が妊娠に有利に働くようなるのではないかとのことです。

 

 

精子や胚、胎児は女性の身体にとっては「異物」ですから、女性の免疫システムは、当然、それらを排除しようとし、妊娠、出産することの障害になります。

 

 

つまり、そもそも、免疫と生殖、すなわち、外からの侵入者を排除し、自分の身体を守る働きと、精子を受け入れ、遺伝的に自分の半分の胚や胎児が成長していくことの間には大きな「矛盾」があるというわけです。

 

 

ただ、これまでの研究で、精子を子宮の入り口で排除していた頚管粘液の質が排卵が近づくと変化し、精子を受け入れるようになったり、体外受精の採卵や胚移植の前後に性交することで射出された精液が女性の免疫システムが胚を攻撃しないように働いたり、妊娠すると女性の免疫システムが変化し、胎児を守るように働くようになったりすることが知られていました。

 

 

その一方で、排卵期以外でも性交回数が多いカップルほど妊娠しやすいのは、性交そのものにもそのような効果があるのではないかとの仮説のもとに今回の研究が実施され、そのことが確かめられました。

 

 

 

性行為をたくさんの回数行うことによって、タイミングだけでなく、免疫システムが妊娠をサポートしてくれるというのです。

 

 

このことは自然妊娠だけでなく、人工授精や体外受精、顕微授精の治療周期でも同じことが言えるはずです。人工授精でも、体外受精でも、顕微授精でも、たくさん、性交したほうが妊娠に有利になるということになります。

 

 
image (10)
 
 
 
ショウキT-1に含まれる8種類の糖鎖は細胞のレセプターになり細胞間の情報伝達や細胞間のコミュニケーションを良くする事で免疫反応の正常化が見込めます。
 
 
 
image (11)
 
 
『免疫が正常に働く事は妊娠に有利になります。』

男性不妊の最新検査『SCSA(DFI)検査・精液中酸化還元電位測定( ORP 測定 )』とは?

2019年10月20日 日曜日

先日、10/5~10/6 九州福岡県博多 で開催された、
 
日本IVF学会で話題になった最新の精子の検査方法をお伝えします。
 
今年の秋から来年にかけて、全国の大手クリニックで採用されると思われます。
 

①SCSA(精子クロマチン構造検査)
(DFI検査: DNA fragmentation index/DNA 断片化指数 ) 

 
どんなに形態の良い精子でも、運動率が良い精子でも、その精子の核がどのような状態かは顕微鏡下で判断することはできません。
 
男性不妊症の患者様では、クロマチンの欠陥や DNA の損傷を受けた精子の割合が多いと言われています。
 
SCSA は、そのような異常なクロマチンを持つ精子のダメージ度合いを検出する方法です。
 
*クロマチン=1個の細胞 (精子) の中に存在する、DNA とタンパク質の複合体のこと

 
 
【対象】
 
AIH,ART
ART 診の方は採卵前、または採卵日に合わせて採精していただきます。
一般診の方も、一般精液検査またはAIH の日に合わせて採精していただきます。
どちらの場合も、少量の精液で検査可能です。
 
 
【方法】
まず、精液を測定しやすい濃度に薄め、DNA の変性 (核酸やタンパク質などの生体高分子が、生理的条件での高次構造を失い変化すること=ダメージ) を誘導するために、酸性処理を用いた刺激を与えます。その後すぐにアクリジンオレンジという蛍光色素で染めます。
 
アクリジンオレンジは、通常2本鎖 DNA (=正常な精子DNA) に結合すると緑色に検出され、変性して2本鎖から1本鎖にほどけてしまった DNA (核タンパク質が不安定なため、刺激によりダメージを受けた精子DNA) は赤色に検出されるという特徴があります。
 
このような処理をした精液をフローサイトメトリーと呼ばれる器械にかけると、緑色の集団と赤色の集団に分けることが出来ます。
SCSA では、赤色に検出された集団の割合 (DFI) と、正常集団よりも数値が高かった割合 (HDS) で診断を行なっています。
 
 
【結果&診断】
 
DFI: DNA fragmentation index/DNA 断片化指数
不安定な核タンパク質を持った精子の割合がわかります。
 
この値が30% 以上だと、人工授精よりも体外受精、IVF よりも ICSI の方が妊娠率が高いことが報告されています。
HDS: High DNA stainability/高 DNA 染色性
未熟な精子の割合がわかります。
この値が 10% 以上だと、人工授精よりも体外受精の方が妊娠率が高いことが報告されています。
 
 
image (5)
 
い集団=正常精子
 
赤い集団= DFI:変性した精子
 
緑の集団= HDS:正常だが蛍光強度が高い精子(=未熟精子)
 
グレイの集団=ゴミや壊れた細胞
 
このSCSAによってわかる”精子のダメージ”は加齢により上昇し、また、採精からの時間経過とともに上昇する傾向があります。

もちろん、SCSA の結果だけで精子の良し悪しをすべて判断することはできないため、他の精液検査の結果と合わせて総合的に診断しています。
 
 
image (6)
 
 
②精液中酸化還元電位測定( ORP 測定 )

 

 
ORP測定の意義および効果
 
酸化ストレは精子にダメージを与えるといわれてます 。「 ORP 検査」は精液の酸化還元電位を測定することで、 精液中の 酸化ストレの強さが分かる検査です 。

この検査を行うとによって、説明がつきくい不妊体外受精や顕微授で結果が出ない場合どに有効と考 えられています。

 
 
ORPの測定には マイオキシス <MiOXSYS>という特殊な 機械を使用します。

高度精子液機能検査で、あなたの隠れ不妊源因を特定できる可能性があります。

 
1.通常の 精液検査では 検出できない酸化ストレによる 男性不妊 の評価が可能となります。

 

 
2.ART ARTを行うか ども含め 、今後の 治療方針を立て るため の指標となります 。
 
 
 
 
 
松康泉 
 
 英メンズクリニックでも松康泉は精子の酸化ストレスを軽減する為に患者様に服用して頂き良い結果が出ております。 
 
 
 
image (8)

朝食をしっかり、夕食を軽く食べることでPCOS女性の排卵率がアップ

2019年8月23日 金曜日

『朝食をしっかり、夕食を軽く食べることでPCOS女性の排卵率が高まる』

 

Clinical Science  

 

 

 

朝食をしっかり、夕食を軽く食べることで肥満ではないPCOS女性のインスリン抵抗性や高アンドロゲンが改善され、排卵率が高まることがイスラエルの研究で明らかになりました。

 


テルアビブ大学の研究チームはBMIが正常な(肥満ではない)PCOS患者60名をランダムに2つのグループに分け、一方のグループには朝食をしっかり食べてもらい、もう一方のグループのは夕食をしっか食べてもらいました。いずれのグループも1日の総カロリーは1800カロリーと同じにしました。

 

 
 
 
それぞれのグループの3食のカロリー配分は以下の通りです。

 
 
・朝食しっかりグループ:朝食980カロリー、昼食640カロリー、夕食190カロリー
 
・夕食しっかりグループ:朝食190カロリー、昼食640カロリー、夕食980カロリー

 

 
 
そして、90日後にインスリンやブドウ糖、テストステロンのレベルを測定しました。

 

 
 
その結果、いずれのグループもBMIに変化は見られなかったものの、夕食をしっかり食べたグループはインスリンやテストステロンのレベルが高かったのに対して、朝食をしっかり食べたグループはインスリン抵抗性は56%、テストステロンレベルは50%、それぞれ低下し、それに伴い排卵率が50%高まりました。

 

 
 
このことから、朝食をしっかり、夕食を軽く食べることで、食後の血糖値の上昇が抑制され、インスリンをコントロール出来、PCOSの排卵障害の改善につながることがわかりました。

 

 
 
注釈

 

 
 
PCO(多嚢包性卵巣)とは小さな卵胞がたくさんみられる状態の卵巣のことをいい、超音波検査で確認できます。
 
 
 
そして、それに加えて、排卵しづらい、あるいは、排卵しないという月経異常を伴うこと、そして、血中男性ホルモン値が高い、または、LH(黄体化ホルモン)値が高いこと、この3つをすべて満たすと、PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)と診断されます。
 
 
 
image (23)

 

 
 
男性ホルモンの値が高いため、卵胞は発育するものの途中で成熟が阻害されてしまい、排卵障害や無排卵を招くことで、不妊の原因になります。

 

 
 
ただ、症候群なわけですから、その症状は、決して、一様ではなく、肥満や内臓脂肪過剰、また、毛深くなるなどの男性化傾向がみられることがあったり、インスリン抵抗性といって、インスリンの効き目が悪くなって、糖や脂質の代謝に異常をきたす状態が、男性ホルモン値が高い背景にあることがあり、そのメカニズムはとても複雑なようです。

 

 
 
PCOSによる排卵障害の治療は、まずは、排卵誘発剤を使いますが、あくまで、対症療法です。

 

 
 
そのため、セルフケアとして、ダイエット(減量)が勧められています。特に糖質制限がお勧めです。
 
 
 
PCOSの女性には肥満が多く、減量することで排卵しやすくなるからです。
 
 
 
ところが、特に日本人では、BMIが正常な肥満でないPCOSの女性が少なくありません。そのため、インスリン抵抗性がある場合には、食後の血糖値を急上昇させない食べ方をすることで、血糖値の上昇や下降をより穏やかなものにし、インスリンの分泌を少なくすることでホルモンのバランスが改善されることが確かめられたわけです。

 

 
 
朝食をしっかり食べ、昼食、夕食と次第に軽くすることだけでなく、カロリー制限ではなく、炭水化物(糖質)の量を制限すること、また、食事の際に食物繊維が豊富な野菜から食べ、次にたんぱく質、最後に炭水化物を食べることでも食後の血糖値の上昇をゆるやかにすることが出来ます。

 

 
 
また、このことはPCOSと診断されている女性だけでなく、高血糖状態は卵細胞にダメージを及ぼす酸化ストレスを高めたり、AGEの産生を促進したりして、卵質の低下を招く恐れがありますので、妊娠を望む全ての女性に勧められる「食べ方」です。

子宮内膜再生増殖法 ERP

2019年8月19日 月曜日

昨日お送りした『子宮内膜再生PRP療法』と同時に臨床研究が進んでいる今年の3月より承認が下りた新しい治療法をご案内致します。

 
 
 
『子宮内膜再生増殖法 ERP』

 
IPS細胞と同じく幹細胞を不妊治療に応用した子宮内膜再生増殖法ERPをご紹介します。
 
これは、月経血の幹細胞により子宮内膜を再生させ、着床の正常化を目的とした全く新しい治療です。

 
適応

・着床不全
・早期流産、化学的流産
・原因不明不妊
・内膜が薄い方

子宮内膜増殖再生法ERPの効果

image (19)
 
月経血より抽出した幹細胞上清液を子宮に注入することで

 
・子宮内膜を再生増殖
・受精卵と内膜の免疫反応を正常化
・移植後の受精卵発育を助長

 
image (20)
 
 
 
治療前 ⇒ ERP実施8日後
 
ERP液注入直後から子宮内膜は再生を開始し、8日後には肥厚した状態に変化した。

 
 
子宮内膜増殖再生法ERPの流れ

 
①月経1~3日目の月経量が多い日に来院
 
 
  1)月経血の採取:1分程度、痛みはありません。
  2)100CCの採血:幹細胞の培養時に使用するタンパク質成分をご自身の血液から精製するためです。
image (21)

 
②月経血から幹細胞を抽出し、30日間培養。

 
③排卵の2~5日前に「サイトカイン、グロースファクターなどの有効成分を含む上清液」を子宮内に注入する。