男性不妊

男性の肉の摂取と体外受精治療成績との関係

2019年8月28日 水曜日

今日は男性の肉の摂取と体外受精治療成績との関係の論文を Fertility and Sterility    で見つけましたので和訳して解説致します。  
 

 

『男性の肉の摂取と体外受精治療成績との関係』

 

Fertility and Sterility  

 

 

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男性パートナーが鶏肉を多く食べるほど受精率が高く、反対に加工肉をよく食べるほど体外受精での受精率が低いことが、アメリカの研究(EARTH study)で明らかになりました。

 

 

ハーバード公衆衛生大学院の研究チームは、EARTH研究(マサチューセッツ総合病院で高度生殖補助医療を受けているカップルを対象に治療成績に影響する要因について調べる前向きコホート研究で2006年にスタートして現在も進行中)に参加しているカップルの男性パートナー141名(18〜55歳)の過去1年間の肉の平均的な摂取量と246治療周期の治療成績との関係を調べました。

 

 

男性のトータルの肉の量、赤身の肉、加工肉、鶏肉、白身以外の魚、白身魚、貝、内臓肉を食べる量4つのグループにわけました。

 

 

その結果、トータルの肉の食べる量と治療成績は関連しませんでしたが、鶏肉を最も多く食べたグループ(1日0.71〜2.82servings)は最も少ないグループ(1日0〜0.18serving)に比べて受精率が13%高い(78% VS. 65%)ことがわかりました。

 

また、加工肉(ハンバーガー、ホットドッグ、ベーコン、その他の赤身の加工肉)を食べる量が多くなるほど体外受精の受精率が低くなりました(82%、67%、70%、54%)。

 
 
 
ただし、顕微授精では関連しませんでした。

 

 
また、着床率や妊娠率、出産率などの受精率以外の治療成績には関連しませんでした。

 
 
 
注釈
 
ハーバード公衆衛生大学院の研究グループはEARTH研究を通して、カップルの食生活が体外受精や顕微授精の治療成績にどのように影響するのかを精力的に研究しています。
 
 
今回、男性パートナーの肉の摂取、すなわち、どんな肉をどれくらい食べているのかが、治療成績にどのように影響するのかについての初めての研究結果が発表され、とても興味深い内容になっています。
 
 
結果は、体外受精や顕微授精の治療成績では受精率だけが関連したというものです。
 
 
そもそも、自然妊娠や人工授精と違い、体外受精や顕微授精は精子の数や運動率よりも質が問われることになり、今回のような結果になったものと考えられます。
 
 
昨年6月に男性の肉の食べる量と精液検査結果の関係を調べた研究結果を発表しています。
 
 
 
加工肉をよく食べる男性ほど正常精子形態率が低く、反対に、魚をよく食べるほど精子濃度や正常精子形態率が高かったというものでした。
 
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肉や魚の摂取と精子の質の関連は、脂肪酸や微量栄養素を介してのものと考えられています。
 
 
 
それは、「動物性たんぱくをどんな食材からどれくらい食べるか」は、脂質や微量栄養素の摂取に強く影響します。
 
なぜなら、肉や魚を食べることは脂質や微量栄養素も一緒に摂ることになるからです。
 
 
肉を食べることは飽和脂肪酸を、魚を食べることはオメガ3系脂肪酸を、内臓を食べることはミネラル類を、一緒に摂ることになり、飽和脂肪酸を摂り過ぎるのは精子の質には悪い影響を及ぼし、反対に、オメガ3系脂肪酸やミネラル類を十分に摂ることは精子の質によい影響を及ぼすということが言えます。
 
 
 
また、加工肉をよく食べるということは、ハンバーガーやホットドッグ、ソウセージなど、ファストフードや加工食品をよく食べるということになります。
 
 
 
 
男性不妊にショウキT-1 
 

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精子を作るための流れ

 

 

男性は、はじめに、視床下部が「精子を作れ」と下垂体に号令をかけます。

この時期に視床下部からGnRHという性腺刺激ホルモン放出ホルモンを出して下垂体を刺激します。

 

 

視床下部から命令を受けた下垂体のゴナドトロピン分泌細胞は、LH(黄体ホルモン)FSH(卵胞刺激ホルモン)というホルモンを分泌し精子の製造工場である精巣に働きかけます。

 

 

LHFSHは女性だけではなく男性でも重要な役割を果たしています。(ちなみにLHとFSHを総称してゴナドトロピンと言います)

 

 

LHは精巣内のライディッヒ細胞を刺激し男性ホルモンであるテストステロンを産制し、FSHは精子生産部門であるセルトリ細胞に作用して精子の産制を促進します。

 

 

精細菅では精粗細胞が第一次精母細胞⇒前期精子細胞⇒精子の順で分化し精子になります。

 

ヒト精子の形成には少なくとも64日間かかり、この日数は通常一生変わらないとされています。

 

 

たんぽぽ茶ショウキT-1エキス」はセルトリ細胞、生殖細胞、精巣内のライディッヒ細胞のホルモンレセプターに働きかけてホルモンレセプターを増やす事により精子の増成に寄与します。

 

 

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高温期の長さと妊娠しやすさとの関係

2019年8月27日 火曜日

今日は高温期の長さと妊娠しやすさとの関係の論文を  Fertility and Sterlity 2017; 107: 749  で見つけましたので和訳して解説致します。  
 

 

 

『高温期の長さと妊娠しやすさとの関係』

 

Fertility and Sterlity 2017; 107: 749  

 


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短い高温期は短期的に妊娠にマイナスの影響を及ぼすかもしれませんが、単発であれば1年でみれば妊娠率には影響しないことがアメリカで実施された試験で明らかになりました。

 
 

ースカロライナ大学チャペルヒル校の研究チームは、不妊症の既往がなく、妊娠を望む女性を対象に高温期の長さと妊娠しやすさとの関係を調べました。
 
 

子づくりをはじめて3ヶ月以下の30-44歳の女性に、月経開始日や排卵の目安になる情報(頸管粘液スコアや基礎体温、排卵検査薬の結果)、妊娠検査薬の結果を妊娠に至るまで、最長1年間記録してもらい、11日以下の高温期の妊娠確率への影響を調べました。

 
 
対象となった284名の1,635周期中で平均の高温期の長さは14日で、高温相が11日以下だったのは18%でした。
短い高温相があった女性はなかった女性の比べて喫煙率が有意に高い(6% vs. 1%)ことがわかりました。

 
 
年齢による影響を調整した結果、高温期が短かった女性のその直後の周期の妊娠確率は18%低下しましたが有意な差ではありませんでした。
 
 
 
 
記録を開始した最初の周期の高温期が11日以下だった女性はその後半年間の妊娠確率は有意に低かったものの、12ヶ月間の累積の妊娠確率では有意な差はみられませんでした。

 
 
この結果から、単発の高温期の短さはその後の妊娠率にマイナスの影響を及ぼすかもしれませんが、1年間の妊娠率には影響しないことがわかりました。

 
 
 
注釈

 
 
高温期(黄体期)は黄体(排卵後の卵胞)からプロゲステロンが分泌され、基礎体温が上昇することではじまり、妊娠が成立しなかった(胚の着床が起こらなかった)場合に、黄体は小さくなり、機能が低下するとプロゲステロンが産生されなくなり、その結果、子宮内膜が剥がれ落ち、月経の開始で終了します。
 
 
 
 
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高温期は14日間とされていますが、プロゲステロンの分泌が不十分で、子宮内膜が着床に適した状態にならない状態を黄体機能不全と診断されることがあり、その場合の高温期の長さの目安が11日以下とされています。

 
 
ただし、黄体機能不全の定義があいまいなところがあったり、その診断や治療方法も確立されていなかったりし、そもそも、黄体機能不全が妊娠成立にどの程度影響するのかについて明確な結論が得られていないため、今回の研究が実施されました。

 
 
黄体機能不全は不妊症の原因になるとか、高温期が短いことを心配されることが多いように思いますが、高温期の短い周期があっても、一定の期間でみれば、妊娠しやすさにはそれほどの影響はないということになります。

 
 
 
たんぽぽ茶ショウキT-1
はホルモンの働きを助けます。
 
 
①顆粒膜細胞を増加させる
 
②卵巣でのホルモンレセプターを増加させる
 
③子宮でのホルモンレセプターを増加させる
 
 
があります。詳しは、もりぎん にてご相談下さい。
 
 
 
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さい帯血のビタミンDレベルと子のADHDとの関係

2019年8月26日 月曜日

今日はさい帯血のビタミンDレベルと子のADHDとの関係の論文をAustralian and New Zealand Journal of Psychiatry.    で見つけましたので和訳して解説致します。
 

 

 

『さい帯血のビタミンDレベルと子のADHDとの関係』

Australian and New Zealand Journal of Psychiatry.  

 

 

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さい帯血のビタミンDの低いレベルは、子のADHD(注意欠陥/多動性障害)の症状に関連することがデンマークで実施された試験で明らかになりました。

 
 
南デンマーク大学の研究グループは、南デンマーク地域のオーデンセ市の妊婦を対象にした前向きコーホート研究(The Odense Child Cohort study)に参加した女性からさい帯血を提供してもらい、ビタミンD(25(OH)D3)レベルを測定し、その子が2-4歳になった時点で、両親に「子どもの行動チェックリスト」に回答してもらい、さいたい血中のビタミンDレベルと子のADHD(注意欠陥/多動性障害)の症状との関連を解析しました。

 
 
1,233組の母子のデータが得られ、子の平均年齢は2.7歳、平均のADHDスコアは2.7でした。ADHDスコアが90パーセント(スコアが低いほうから数えて90%の位置にあたる値)以上とさい帯血中のビタミンDの低レベルや母親の低年齢、低学歴、そして、妊娠中の母親の喫煙や飲酒に関連しました。

 
 
そして、さい帯血中のビタミンDが25nmol/L以上だった子どものADHDスコアは25nmol/L未満だった子どもに比べて低く、30nmol/L以上だった子どもも30nmol/L未満だった子どもに比べてスコアが低いことがわかりました。

 
 
また、ADHDスコアが90パーセント以上になる確率はビタミンDレベルが10nmol/L増えるごとに低くなりました。

 
 
のことから、さい帯血中のビタミンDの低レベルは子のADHDの症状に関連することがわかりました。

 
 
 
注釈

 
ADHD(注意欠陥・多動性障害)とは、
 
 
 
「年齢あるいは発達に不釣り合いな注意力、及び(又は)、衝動性、多動性を特徴とする行動の障害で、社会的な活動や学業の機能に支障をきたすもの」と定義されています(文部科学省)。

 
 
これまでビタミンDレベルの低い子どもとADHDに関連するとの研究報告があったことから、今回の研究が実施され、さい帯血中のビタミンDの低レベルとその子のADHD症状が関連するという結果でした。

 
ただし、これをもって、ビタミンDの不足がADHDの原因であるということは言えません。

 
研究ではさい帯血中のビタミンDレベルとチェックリストによるADHD症状のスコアとの関連を調べたもので、決して、医師による診断がなされたわけではなく、また、そもそも、ADHDは明確な原因はわかっていませんし、さまざまな因子が関与するとされています。

 
 
そのことを理解した上で、妊娠、出産、そして、子の健康においてもとても大切な役割を担うビタミンDは、葉酸と同様、ビタミンDも不足しないようにサプリメントで補充することが大切であると研究グループはアドバイスしています。
 
 
 
天然の葉酸塩(6(S)-メチルフォレート)とビタミンD3,
 
に つきましては、もりぎんまでお問い合わせください。
 
 
 

不妊クリニック通院中の男性の携帯電話の使用と精子の質

2019年8月24日 土曜日

携帯電話と妊活の関係についてよく聞かれます。
 
今日は携帯電話と妊娠の関係の論文を Reproductive Toxicology 2017; 67: 42-47  で見つけましたので和訳して解説致します。    
 

 

 

『不妊クリニック通院中の男性の携帯電話の使用と精子の質』

 

Reproductive Toxicology 2017; 67: 42-47  

 

 

 

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携帯電話の使用と精子の質は関連しないことがアメリカで実施された試験で明らかになりました

 

ハーバード公衆衛生大学院の研究チームは、EARTH研究(マサチューセッツ総合病院で高度生殖補助医療を受けているカップルを対象に治療成績に影響する要因について調べる前向きコホート研究で2006年にスタートして現在も進行中)に参加しているカップルの男性パートナー153名(18-56歳)を対象に携帯電話の使用と精子の質との関係を調べました。

 

 
 
 
携帯電話の使用については、看護師から配布されたアンケートで、直近の3ヶ月間に携帯電話を使用の有無、1日の使用時間(2時間未満、2-4時間、4時間超え)、また、使用者にはヘッドセットの使用の有無と使用頻度、そして、携帯電話の収納場所(ズボンのポケット、ベルト、鞄、その他)について回答してもらい、精液検査の結果との関係を解析しました。

 

 
 
その結果、携帯電話の使用の有無や使用時間、収納場所と精液検査のいずれの結果とも関連はみられませんでした。

 

 
 
注釈

 

 
 
これまで携帯電話の使用と精子の質の関係については、多くの研究が行われています。それらの結果は、互いに相反するもので、関連するというものもあれば、関連しないというものもあります。

 

 
 
そのため、ハーバード大学のEARTH Studyで行われた試験が今回の報告で、関連しなかったというものです。
 
 
 
 
今回の試験の特徴としては、精液検査を複数回受けた男性がいたことで、1回の男性は全体の44%で、2回が28%、3回が9%、4回以上が19%で、153名の男性から350の精液が提供されています。

 

 
 
いずれにしても、これまでの研究は横断研究で、ある時点の携帯電話の使用と精液検査結果の関連を調べたもので、どうしても結果の精度は低くならざるを得ません。

 

 
 
そもそも、携帯電話の使用と精液検査結果の関連は、携帯電話の発する電磁波が精子そのもの、または、精子をつくる働きにマイナスの影響を及ぼすのではないかという仮説のもとに行われていますが、それらの因果関係を、直接、調べることは困難です。

 

 
 
私の感覚としては、男女問わず、スマホを操作する時間は、どんどん、長くなっているように思いますが、精子の質への影響についてはなんの結論も導くことができません。