葉酸摂取で胎児の病気予防-脳卒中や心臓病の予防にも大切
葉酸とは、ビタミンB群の一つで、野菜や豆類、レバー等様々な食品に含まれて
います。不足すると、胎児の脳や背中の神経の病気を招く恐れがあり、
動脈硬化や生活習慣病にも関連することがわかってきました。
今年9月、産婦人科医や脳神経外科医らの有志が、パンや麺類などの加工食品に
葉酸を添加することを求める要望書を、各食品団体に提出しました。
日常の食生活で葉酸の摂取を増やすのが狙いです。
海外の大規模調査で、妊娠を希望する女性が妊娠前から葉酸をサプリメントで
摂取すると、子どもが二分脊椎など脳や背中の神経の病気になるリスクを大きく
減らせることがわかりました。
厚生労働省は2000年、都道府県などに妊娠の1ヶ月以上前から妊娠3ヶ月までに、
食事に加え、サプリメントで葉酸を1日400マイクログラム摂取することを推奨する
通知を出しました。
葉酸の体内での利用効率は、食品が50%、サプリメントが85%とされており、
サプリメントの方が約1.7倍も利用されやすいのです。このことからも
食事だけで胎児の病気の予防に有効な葉酸を摂取するのは難しいと考えられます。
多くの女性は何も知らないまま妊娠する為、意識せずに葉酸を摂取できる対策が
必要です。現在、84ヶ国が1種類以上の穀類へ葉酸の添加を行い、二分脊椎などの
葉酸不足が原因となる胎児の病気が減っているそうです。
一方、国内では厚労省の通達以降も二分脊椎の子供は減らず、年間500~600人が
生まれています。
大人でも葉酸が不足すると、血液中のホモシステインというアミノ酸が増えて、
動脈硬化を招き、脳卒中や心臓病、認知症になりやすくなります。
米疾病対策センターの研究者らは、1998年に穀類への添加対策を始めた
米国・カナダと、対策のない英国で、脳卒中の死亡率の変化を比較し、
添加が死亡率減少に効果があったと結論付けました。
女子栄養大副学長の香川靖雄さんは「葉酸の添加は、妊娠を考える女性だけでなく、
すべての国民の健康に役立つ」と強調しています。
埼玉県坂戸市は、2006年度から地元の女子栄養大と協力して、地域ぐるみで
葉酸摂取に取り組んでいます。国が定めた成人の葉酸の推奨量は
1日240マイクログラムですが、400マイクログラムを目標に掲げています。
高齢者は消化吸収能力が落ちる上、日本人の約15%は葉酸を体内に
取り込みにくい体質を持っているためです。
管理栄養士らが講座を開いたり、個別指導を行ったりして葉酸の重要性を説明し、
希望者には血液中の葉酸の量や体質を調べる検査を行い、取り込みにくい体質なら、
より意識して葉酸を摂取するよう促しています。
市内の約40店舗も協力し、葉酸を添加したパンや卵を販売したり、葉酸を豊富に
摂取できる献立を提供したり、胎児と葉酸に関するチラシも作成して、
婚姻届の窓口に置く他、市内の高校で生徒に配ったりもしているそうです。
大麦若葉エキスにも大麦若葉由来の葉酸が、
バーリィリーン1スティック(3g)あたり、約20マイクログラム含まれています。
近年、合成サプリメントによる過剰症が心配されていますが、大麦若葉エキスは
合成葉酸を添加しておりませんので、葉酸の過剰になる心配もなく、
栄養補助にお役立ていただけると思います。